寂滅の天使は夜に笑う3 (ページ26)

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107佐久間side ページ26

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向「また…やったん？」

医務室まで黙って手を引かれ、開口一番に康二はそう言った。何で分かるんだろう。
やったのは事実だけど、その言葉に肯定はしたくなくて無言でいるとため息をつかれた。

向「佐久間くん。俺はな、佐久間くんが何回傷ついても手当てはする。でも出来れば、最初から痛い思いはして欲しくないねん。大事な人だから。」

嗚呼、本当に。康二は優しい。

佐「ありがとう。」

向「うん。あとな、隠してるつもりでも分かるから、せめて俺だけには言って。傷見るの苦手で頼りないかも知れへんけど。」

佐「分かった。」

こうして康二に手当てをしてもらうのは何回目だろう。最初は血を見るだけでも呼吸が荒くなって、どっちがけが人だか分からないような状態だったけど、最近では手が震える程度。

慣れさせてしまったことが申し訳ない。

俺がやってしまった理由は、前回も同じで、みんなの仲間に加わる為だ。

以前では考えられなかったほどの前向きな理由。それを康二には言っていないから酷く心配してくれた。

向「結構深いな…。これ傷痕残ってまうで。場合によるけど真皮が損傷したら跡になる可能性が高くなる。」

佐「うわ…マジ？」

向「大マジやで！包丁で切ったのは治らん。これとかはカッターか何かやろ？まだ浅いからちゃんと手当てしたら治る。」

指でなぞって康二は説明するけど、よく見るとやっぱりグlロい。いやよく見なくてもグlロいのには変わりないんだけど、気持ち悪いな、俺。

佐「でも隠してれば見えないし残っても良いよ、今更。」

向「なーにを言っとんねん！神経傷ついてるで？本当に最悪の場合動かせなくなったりするんよ。
それだけやない。治そうとして皮膚が引き攣ってるやろ？手を伸ばした時とか、上げた時とか動かし辛そうなのバレてる。」

佐「え、それで気づいたの⁈康二すご…」