寂滅の天使は夜に笑う3 (ページ25)

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106ラウールside ページ25

あの時は阿部ちゃんの言うことを聞いてるように見せかけたけど、本当は従うつもりなんて全く無かった。

それから、明後日は今日になり、蒼くんと会う約束をした日になった。

勿論、俺は行くよ。ふっかさんには許可貰ったし良いでしょ。もう高校生(の歳)なんだしこれぐらい。

見つかったら嫌だから、誰にも見られないように静かに家を出た。幸い今日は平日で、日中だから皆んな仕事場にいる。しかも何人かは依頼で外に出ているから結構簡単に出られた。

蒼くんと約束した場所は、気軽に入れるファミレス。話したい事があるんだ、って言うからそう決めたんだ。

ラ「あ、やばい」

腕時計を見ると結構良い時間。急がないと、位置情報が分かってしまうからとスマホを置いてきたから遅れたら連絡が出来ない。

十分前までには絶対に着かなきゃいけない、その一心で全力疾走した。

ラ「蒼くんｯ待った？」

ゼーハーと息を切らして、定員さんに待ち合わせですと何とか伝えると、やっぱりもう来てたみたいだった。

蒼「全然…！そんな急がなくても大丈夫だったのに。」

ラ「いやー癖なんだよね。お仕事の影響？かな。」

蒼「そっか…」

前回の印象通り、蒼くんは大人しめの子で、お料理も頼んでからたくさん話をしたけど落ち着いていて話しやすい。

みんなでワイワイするのも良いけど、こういうのも好き。出逢って少ししか経っていないのに、話が合うし波長というものも合ってる気がする。

何より、新しい俺が生まれてから初めて友達が出来たということが嬉しかった。ぽわって心が暖かくなって、視界に入るものがキラキラしたような、そんな感覚がある。

蒼くんと仲良くなれて良かった！

…そんな風にすっかり浮かれていた俺は、この後あんな事になるなんて思わなかった。