寂滅の天使は夜に笑う3 (ページ12)

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93阿部side ページ12

そこからの記憶は曖昧で、気がついたら、開けっぱなしの窓から見える空が明るくなっていた。

隣にはすやすやと眠る母さん。その目は瞑っていても腫れている事が見て取れた。

起こさないようにそっと時間を確認するともう10時を過ぎている。

学校に連絡しないと。

そうも思ったが連絡しなかった所で親に確認の電話なんてよこさないだろうからやめた。

俺がどうなろうと見て見ぬ振りな学校だからな。

今から準備をして家を出たら病院に着くのは11時半頃。面会するには丁度良い時間だ。

昨日と今日の朝診察の結果でこれからの治療法が変わってくるし、退院出来るかも決まるから早めに聞いておきたい。

必要最低限のものだけ詰めて、母さんが心配しないようにメモに「柊のお見舞いに行ってきます」と残して病院へと向かった。

阿「調子どう？」

柊「だいぶ良くなったよ。」

ほら、と軽く動いてみせる柊は本当に回復したのだろう。でもどこか元気が無いような気もする。

…まあ、こんな事されたんだから当たり前だろう。

阿「良かった。じゃあ兄ちゃん検査の結果聞いてくるからまってて。」

柊「あー、兄貴は聞かなくて良いよ。大した事無いし。」

阿「大した事なくても俺のせいでこうなってるんだから。」

柊「良いって。」

阿「いや、これからの事もあるし」

柊「ちょ、」

引き止める柊をスルーしてお医者さんに検査結果を聞くために別の部屋に通して貰った。