441話 共通点 ページ50
可笑しい。
俺は確かに確認した筈だ
実はそのスマホは、警察関係者から預かった物ではなく、加害者の女から伊弉冉さんに返して欲しいと頼まれた物
そのまま警察に連れていかれた女の様子を見て確信した俺は、彼女の正体がバレる危険性を感じ、捜査という名目で彼のスマホを隈無く調べた
スマホに保存されたデータ、カバー、それだけじゃ不安の種が解消されず軽く解体していた程にだ
――なのに、その紙を見落としていた
あの女が何か仕掛けを作っていたのか……?いや、そんな時間は無かった筈。見た所、普通にカバーとの間に忍ばせていただけだ
まぁ今更考えた所で意味は無い。全く……本当に俺は詰めが甘い、と自分にイライラする
「その……入間さん、聞きたいんだけど……」
訝しげな表情で伊弉冉さんは俺に尋ねてくる。もう何を聞かれるか分かりきっているが、敢えて聞き返した
「何でしょうか?」
「彼女は……、Aさんはヒプノシスマイクを持っているのかい?」
「何故そう思ったのでしょうか?」
「この文を見て、先生が前に仔猫ちゃんにラップスキルを使った時と似ていると思ってね……」
「似ている……とは?」
「あの時も人が変わったように自分を責めて謝ってくれたんだ。だから、彼女もマイクを持っているのかなって」
この男は、観音坂さんのマイクをAさんが奪いに来た時にいた。だから、あの暴走も知っている
薄々彼女が異端な存在だと勘づいているだろうが、俺の口から言ってはならない事だ。白を切らせてもらおう
「成程。私の知る限り彼女はヒプノシスマイクを所持していない筈ですが……加害者の女性が持っていたのか、はたまた隠し持っているのか……。私では明確な答えは出せませんね」
「そう……か」
「あ、あの……っ、話の骨をおる様で申し訳ないんですが、早くしないとAさん達が待っていますよ……っ」
空気を読んでなのか、静かに見守っていた観音坂さんが口を開いた
そういえば彼はAさんの正体を知っていたな……。彼女と出会ってまだ時期も経っていない頃に、神宮寺先生から 自分の軽率な判断で観音坂さんに彼女の正体を話させてしまった、と謝罪を受けていた
態々報告してくる辺り誠実な男だと思ったし、観音坂さん自身も言いふらす人間だとも思わないので、誰も咎める事は言わなかったが
「そうですね。いきましょうか」
少し気の回し方が不器用な気もするが、利用させて貰い話を切り上げて目的地へと向かった
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にゃんこ(プロフ) - はい。楽しみにしています。 (2021年8月8日 14時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 了解しました!確実に出す予定なのでそれまでお待ち下さい!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 予定でしたら大丈夫です。無理はしないで下さい。焦らずゆっくりでいいです。 (2021年8月8日 10時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 予定はあるんですが、まだ第一回のディビジョンバトルも終わっていないので、結構後になってしまいます!申し訳ありません!! (2021年8月8日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 私も遅くなってすみません。大阪と名古屋の絡みはありますか? (2021年8月8日 7時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年7月11日 23時