437話 後先考えなくてごめんなさい ページ46
旅館に戻り寂雷達の部屋に入ると、寂雷はAを畳の上に座らせ自分の鞄から救急箱を取り出した
4人が静かに見守る中、アルコール消毒から始める
『うっ……滲みる……』
「擦り傷程度で済んでよかったですが、相手は刃物を持っていたんでしょう?何故無理をしたんですか……」
『いやぁ……1発喰らわせれば大丈夫だと思ったんです……。でも意外と相手しぶとくて……愛の力って凄いですね……アハハ』
「笑い事じゃありません」
『うぅ……すみません……』
ここに漂う空気はとても重く、Aが誤魔化す様に笑っても叱られるだけだった
あの寂雷が険しい表情になるのも無理はない、それ程危険な状況だったのだ
「………。」
Aの怪我の具合は、声を上げた時のかすり傷だけで他は無かった。絆創膏を貼られ「治療は以上ですね」と頭を撫でられるAを一二三は黙って見ていた
「おい」
重かった空気が左馬刻の一言でより重く、張り詰めた
「な……何か―――」
ダァンッッ!!!
「うぐぁッッ……」
「一二三っ!!?」
左馬刻は一二三の胸倉を掴むと躊躇なく壁に叩きつけた
骨が軋む痛みで顔を歪ませる一二三を、怒りで瞳孔が開いた血の様に紅い目が睨む
「テメェ……どう落とし前をつけんだ!あぁ゛ッ!?」
「っ……ぁッ……」
「女に守られて何イモ引いてんだァッ!!
女が怖ぇとか知らねぇ、テメェ……男なら女を守れやがれッッ!!何ヒィヒィ泣きながら逃げてきやがった!!顔の傷をどうしてくれんだァッ!!」
「待って下さい!一二三は!一二三は出来る限りの事をしたんです!!あの時 何も出来なかったから僕らを必死に探して――」
「テメェは黙ってろリーマン!!
それで俺らを見つけられなかったらどうしたんだッ!その間にAが刺されてたらどうしてたんだァ!!怖いってンな下らねぇ事でコイツが死んでたら 俺はテメェを一生許さねぇッ」
「っ……。アンタが……アンタが一二三の何を知ってるんだ!!
一二三がどんな思いでトラウマと戦ってきたか……それをくだらないって……ッ!!」
「いいんだ独歩君……。それは紛れもない事実だから……」
「一二三……!?」
「こればかりは謝っても済まされない事だと自覚している……。自分で自分が憎いくらいさ……」
怒りで我を失っていた左馬刻の目に映ったのは、その綺麗な顔には不釣り合いの赤黒くなった下唇
出血は治まってはいるが、おそらく悔しさで噛み続けていたのだろう
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にゃんこ(プロフ) - はい。楽しみにしています。 (2021年8月8日 14時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 了解しました!確実に出す予定なのでそれまでお待ち下さい!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 予定でしたら大丈夫です。無理はしないで下さい。焦らずゆっくりでいいです。 (2021年8月8日 10時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 予定はあるんですが、まだ第一回のディビジョンバトルも終わっていないので、結構後になってしまいます!申し訳ありません!! (2021年8月8日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 私も遅くなってすみません。大阪と名古屋の絡みはありますか? (2021年8月8日 7時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年7月11日 23時