434話 こんな俺でごめん ページ43
「アァァァ゛ッ!!」
「うッ……っ!中々の筋力だね……っ」
目の前で執恵さんが包丁を振り回し、海波っちが避けながら腕を掴んで動きを封じようとする
自由になっても恐怖で動けない俺は何も出来なかった。助けたいのに……目の前で戦ってくれてるのに……っ!!
海波っちは知り合いが近くにいるって言っていた。多分独歩達の事だ。そうだ、MTCや先生がいる筈だから執恵さんを止めてもらおう!!
それが何も出来ない俺の唯一出来る事だった
震えながらも頑張って立ち上がる
「っ、良かった。僕が押さえてるから早く!!」
「独歩達を呼んでくるからそれまで頑張って!!」
「了解!」
「行かないで一二三君!!私は貴方を愛してるだけなの!!」
「待って」と泣き叫ぶ執恵さんを無視して背を向ける。外に続くであろう扉には閂型の鍵が掛けられていた
焦りながらも必死に棒をずらし重い扉を全身を使って開ける―――
「うあ゛ぁぁあッッ!!!」
「あ゛っ!!」
海波っちの叫び声が聞こえた
振り返ると海波っちは顔を押さえていた
「海波っち!!!」
「ただのかすり傷だから大丈夫!!早く行って!!」
俺の呼び声に笑いかけると執恵さんを再び押さえようとする
早く助けを呼ばないと……!!
開けた扉から飛び出す
扉の向こうは真っ直ぐな一本道が続いていて、奥の方に色んな人が行き交う温泉街が見えた
そこに出ればきっと独歩達がいる筈だ!!
後ろから2人の叫び声や悲鳴のような声が聞こえ続ける
海波っちなら大丈夫。そう言い聞かせても不安が過り走りながら後ろを見た―――
「………え…?」
目を疑った。
暴れ回る執恵さんを押さえていた海波っちの髪の毛がいつの間にか長く伸び青色になっていて、まるでAちゃんみたいだった
え、海波っちがAちゃん……?で、でも声が違うし……。助けなきゃ……でも女の子で……でも命の危険がッ……
頭が混乱している中、体は2人から逃げる様に離れていく
助けたいのに、女の子だからってだけで拒絶反応が出てしまう
――悔しい悔しい悔しい悔しいッ!!!
女の子が俺の為に命を張ってくれてるのに助けに行けないッ!!自分が情けない自分に腹が立つ
「あ゛ぁぁぁあッ!!!何で俺はぁぁあ゛!!」
自分に向けた怒りをぶつける様に叫んだ。そんな事をしても恩人が助かる訳ない
でもそうしないと、この気持ちがドロドロに溢れてしまう
………ごめん。ごめん。
こんな
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にゃんこ(プロフ) - はい。楽しみにしています。 (2021年8月8日 14時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 了解しました!確実に出す予定なのでそれまでお待ち下さい!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 予定でしたら大丈夫です。無理はしないで下さい。焦らずゆっくりでいいです。 (2021年8月8日 10時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 予定はあるんですが、まだ第一回のディビジョンバトルも終わっていないので、結構後になってしまいます!申し訳ありません!! (2021年8月8日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 私も遅くなってすみません。大阪と名古屋の絡みはありますか? (2021年8月8日 7時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年7月11日 23時