433話 邪魔をするなら殺す ページ42
「死ねぇぇえッッ!!!」
荒々しい叫びと共に力任せに拳を振るう
だが、その拳は簡単に避けられ空を切った
海波っちは、2歩執恵さんから距離をとるとワタワタ緊張感のない言動を見せる
「ちょっと!?急に殴り掛かってくるなんて!!」
「五月蝿い!!」
「全く……話し合いで解決した方がいいのに……
そっちから殴ってきたんだから、どんな目にあっても正当防衛だからな!」
指を差しおどけて言うと、少し姿勢を低くし構えた
さっきまで怖がってる俺を安心させる為か明るく振舞っていたが、その時の表情は別人で怒りを含ませた目で執恵さんを睨んでいた
「っ……な、なに―――」
――一瞬だった。
その剣幕に辟易し後ずさりしようと右足を引いた僅かな隙を見逃さず、一気に距離を詰めた海波っちは執恵さんの後ろに周り容赦なく手刀を入れた
執恵さんは悲鳴を上げる事無く糸の切れた人形の様に倒れる
「あっ、顔面から倒れて大丈夫だったかな……?」
確かに勢いよく前に倒れたけど、この状況で相手を気にするなんてお人好しだ。自分の状況を忘れ、ぼんやりと思う
「まぁいっか」そう片付けた海波っちは俺の所に来て縛っている縄に手を伸ばした
「うーん、すっごい固く結ばれてるなぁ……」
「あ、そ、その……ありがと」
「ん?
あぁ、それは此処を無事出てきた時に言って欲しいな。まだこれに苦戦してるし
まぁでも、無事で良かったよ」
白い歯を見せてニッコリ笑うその表情は、恐怖を完全に無くしてくれた
海波っちはこんな顔してたんだなぁ。整ったパーツに透き通る様な肌の白さ、目も大きいから女の子と言われても違和感はない、なんて失礼な事を思った
「もう少しで解けそうだ」
……コツリ
不穏な音が微かに聞こえた
嫌な予感がして顔を上げると、執恵さんがユラユラと亡霊の様に立ち上がっていた
「よしっ!解け―――」
「海波っち危ないッ!!」
「っ!!?」
俺の声で背後の危険に気付いた海波っちは、俺を突き飛ばした
地面とぶつかった痛みで顔が歪みながらも上半身を起こすと、俺が縛り付けられていた柱に包丁が刺さっていた
海波っちが突き飛ばしてくれなかったら、自分に刺さっていたのだと戦慄が走る
「何もかも邪魔しやがってッ!!殺す!全部殺してやる!!」
もう店に来てくれてた時の面影は無かった。瞳孔は開ききって獣の様に息を荒くさせ興奮状態だ
「一二三さん逃げて!君の知り合いが近くに来ている筈だから!」
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にゃんこ(プロフ) - はい。楽しみにしています。 (2021年8月8日 14時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 了解しました!確実に出す予定なのでそれまでお待ち下さい!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 予定でしたら大丈夫です。無理はしないで下さい。焦らずゆっくりでいいです。 (2021年8月8日 10時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 予定はあるんですが、まだ第一回のディビジョンバトルも終わっていないので、結構後になってしまいます!申し訳ありません!! (2021年8月8日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 私も遅くなってすみません。大阪と名古屋の絡みはありますか? (2021年8月8日 7時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年7月11日 23時