432話 ただの通行人 ページ41
ダァンッ!!!
「えっ!?」
扉からだろうか。何かが強く打ち当たる音が響いた
音の大きさで執恵さんは驚くが、直ぐに余裕な表情で笑う
「はっ、酔っ払った観光客が入ろうとしたのかしら?それか一二三君のお友達?でも残念、内側から鍵を掛けてるから入れないわ」
再び俺に視線を向けるとジワジワと歩み寄ってくる。恐怖で逃げようとしても後ろの柱が邪魔をする
近づいた執恵さんが俺の両頬を包んだ。優しい筈の仕草なのに怖くて仕方がない。その子供に向ける様な微笑みも狂気的な物にしか見えない
「さぁ邪魔者が来る前に始めましょ♡」
「やッ……やめッ…!!」
顔が近づいてくる。その時間が妙にスローに感じ、脳裏に“あの女”にされた光景が走馬灯みたいに浮かんだ。
あぁ……また俺は女の子に――
バリンッッ!!
俺らを照らしてた窓ガラスが大きな音を立てて割れた。それと同時に、破片と何か大きな黒い影が飛んで来る
影が床に落ちてゴロゴロと転がると「いてて……」と言葉を発し人の形に変わり立ち上がった
瞬きさえ忘れた目に映ったのは、茶髪のウルフカットで青い瞳の中性的な人物。俺の記憶の中では出会った事が無い人だ
「だ、誰ッ!!?」
「えっと……こういうのは先ず自分から名乗るモノじゃないかな……?
まぁでもいいや、僕は――」
「海波っち!!」
1度しか聞いた事ないけど忘れる事は無かった声に、安堵と喜びを感じ思わず遮ってまで彼の名を呼んだ。
海馬っちは目を見開き「まさか分かっちゃうなんて」と眉を落として笑う
割れた窓から差す直射日光で照らされる海馬っちは、とても神々しい
「大丈夫。必ず助けるから」
「海波!?誰よ!!私、貴方なんか知らない!一二三君の何よ!!」
安心させる様に笑いかけてくれた海馬っちに執恵さんは怒号を飛ばす。俺のストーカーなのだろうか、自分が把握していない人物が現れた事により苛立ちを覚えた様だ
「何って言われても……。ただ困ってる所に居合わせたただの通行人?」
「ふざけないでッ!」
怒りが限界に達した執恵さんは般若の形相で海波っち目掛けて殴り掛かる
「私の恋路を邪魔しないでッ!!」
「危ないッ!!」
女性でもまともに喰らえば一溜りもない。必死に叫んだ
でも、涙でぐちゃぐちゃな俺とは反対に海波っちは余裕の笑みだった
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にゃんこ(プロフ) - はい。楽しみにしています。 (2021年8月8日 14時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 了解しました!確実に出す予定なのでそれまでお待ち下さい!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 予定でしたら大丈夫です。無理はしないで下さい。焦らずゆっくりでいいです。 (2021年8月8日 10時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 予定はあるんですが、まだ第一回のディビジョンバトルも終わっていないので、結構後になってしまいます!申し訳ありません!! (2021年8月8日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 私も遅くなってすみません。大阪と名古屋の絡みはありますか? (2021年8月8日 7時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年7月11日 23時