431話 狂愛 ページ40
「っ……うぅ……」
あれ俺っち……何で寝てて……?座って寝るとか酔ってないのに……しかもジャケット無いしやべぇじゃん……
まだぼーっとする頭を必死に動かし瞼を開けると俺は知らない所にいた
照明は無く窓から差す太陽の光だけが明かりをともし、天井や壁は錆び付いて、埃を被った大きなベルトコンベアやよく分からない機械が沢山あって、見るからに誰も使ってない場所だった
何処だか分からないけど独歩も近くにいないし早く出ないと……
立ち上がろうと足に力を入れると背中とお腹、腕辺りに圧力を感じた。視線を落とせば縄があって、背後にある柱に縛り付けられている事に気付く
何で!?これじゃ身動き取れないじゃん!!?
ジタバタ暴れても縄が緩む気配は無く、ただ体が痛むだけだった
「だっ、誰か!!独歩ッ!!先生ェッ!!」
出せるだけの声で叫んでも虚しく反響するだけだった。この状態で女の子にあったら――
「あらぁ一二三君……漸く起きたのね?ぐっすり眠って……昨日は夜更かししてたものね?」
「ヒィッ!!?」
突如聞こえた女の子の声に、喉が締められた様な悲鳴を上げ全身が強ばる。隠れようにも動けず腕も縛られてるから身を守る体勢が取れない
「驚かせちゃってごめんなさい。ふふっ……でも怖がってる一二三君も可愛いわ……」
コツコツ……と冷たい音が声と共に近づいてくる。暗闇から足が伸びてくると窓から差す光の中に入り、声の主がその全貌を露にした
「うふっ、こんにちわ。一二三君♡」
「ヒィッ……お、女の子ッ……!?」
この人物は知っている。よく俺の店に来てくれる常連さんだ。名前は
店に来てはいつも楽しい話を聞かせてくれる優しい女の子―――の筈だった
――何で?どうしてこんな事を??
聞きたいのに口から出るのは意味をなさない怯えた音のみ
「うーん、何だかいつもの一二三君と雰囲気が違うけど怯えてるからよね?
大丈夫よ安心して。これから私は貴方を愛してあげるだけだから♡」
頬を紅潮させ熱を籠らせた息を吐き、不気味な笑みを浮かべ舌なめずりをする表情は正に獣。この先何が行わられるのか嫌でも分かってしまう
“僕”なら思いとどまらせる言葉は幾らでも言える。でも“俺”は出来ない。
助けて。嫌だ。――叶わない言葉を吐く事しか出来ない
No.1ホストの面影が無くなる程、情けなく鼻水を出しながら泣きじゃくる。そんな事しても助けなんて来る訳ないのに
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にゃんこ(プロフ) - はい。楽しみにしています。 (2021年8月8日 14時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 了解しました!確実に出す予定なのでそれまでお待ち下さい!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 予定でしたら大丈夫です。無理はしないで下さい。焦らずゆっくりでいいです。 (2021年8月8日 10時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 予定はあるんですが、まだ第一回のディビジョンバトルも終わっていないので、結構後になってしまいます!申し訳ありません!! (2021年8月8日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 私も遅くなってすみません。大阪と名古屋の絡みはありますか? (2021年8月8日 7時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年7月11日 23時