429話 悪い人じゃなさそう……? ページ38
え……何で私の名前を……?それに外って……
全身の血の気が引く感覚が襲う。周りは賑やかな筈なのに静まり返った様な緊張が走る。逃げろと本能が叫ぶ
――この人は私の正体を知っている……!!
咄嗟に逃げようと立ち上がるが、男に腕を掴まれそれは叶わなかった。そしてそのまま引っ張られ男に飛びついてしまうと、肩を抱かれて身動きが取れなくなる
「おいおい急に逃げようとするなよぉ……。ただ話がしたいって言ってるだけじゃねぇか」
『離してくださいっ!』
「随分と怯えてんじゃねぇか。そんなにおいちゃんが怖いかい?」
恐怖で震えて上手く動かない手で必死にスマホを操作しようとするが、直ぐに男に取り上げられてしまう
ダメだ……。また、私あの施設に……
『嫌だ……ッ……もう戻りたくないッ……皆と離れたくない……ッ!』
言葉に出しても叶う訳が無い。それでも涙と共に口から溢れてしまう
恐怖の眼差しで男に顔を向けると――
「泣くんじゃねぇよ。……そっか、離れたくないって言えるくらいには外は良かったか」
優しく、温かく、柔らかい声で呟き涙を親指で拭ってくれた
施設の人とは思えない優しい言動に口から『え……?』と零れる
「嬢ちゃん
お前さんが何を勘違いしてるか知らねぇが、俺ァソイツらの仲間じゃねぇよ」
その口振りからは 私が何で何処から逃げ出し何に怯えているのか全てお見通しらしい
『じゃあ……何で……私を――』
「知ってるか……だろ?そりゃ、昔に会ってるからな。お前さんは覚えてねぇと思うが」
覚えてない、という事は夢に出てくる優しい人達の1人なのだろうか……?必死に思い出そうとしても、やはり何も出てこない
「いやぁ、随分といい女になったじゃねぇか。俺がもうちょい若けりゃ口説いてたぜ?」
ハッハッハッ!、と高らかに笑う男に段々と警戒心を無くしていく。この人は大丈夫そうだ……と
『貴方は……。貴方はハカセと仲が良かったんですか……?』
「博士……?あぁ、アイツはそんな風に呼ばせてたっけな。仲がいい、って訳じゃ無いが、よく喋ってはいたな。ま、口を開けば嬢ちゃんの話ばっかりだったが」
サングラスであまり表情は読めないが、口は穏やかに緩ませていた。懐かしむ様に
「十数年ぶりに元気そうな顔を見れておいちゃん安心したぜ。これ、軍人の兄ちゃんに渡しといてくれや」
私の膝の上に置かれたのは1個の小さな長方形の物。確か理鶯さんがよく使っているUSB……だった筈
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にゃんこ(プロフ) - はい。楽しみにしています。 (2021年8月8日 14時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 了解しました!確実に出す予定なのでそれまでお待ち下さい!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 予定でしたら大丈夫です。無理はしないで下さい。焦らずゆっくりでいいです。 (2021年8月8日 10時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 予定はあるんですが、まだ第一回のディビジョンバトルも終わっていないので、結構後になってしまいます!申し訳ありません!! (2021年8月8日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 私も遅くなってすみません。大阪と名古屋の絡みはありますか? (2021年8月8日 7時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年7月11日 23時