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302話 急がば回れ ページ8

「じょ、女性恐怖症!?」

「うん……俺っち女の子が怖くて……」

「普段どうやって過ごしてるんですか!?」

「仕事で着てるジャケットを着たら大丈夫なんだ……でもさっきそれが脱げちゃって……」

「ジャケットで克服とはまた凄い話だ……」

「知り合いの先生曰く一種の催眠効果だって」

「なるほど……

さっきの女の子は君の知り合い?」

「うん……

前、あの子をおんぶして病院に連れていった事があったんだけど、それの礼が言いたいからってヨコハマから来てくれたんだ

でも俺っちが女性恐怖症だからジャケットを着ないと会えなかった……」

「説明しなかったの?」

「軽蔑されると思ったから……だって女の子が怖いなんて色々と終わってるっしょ?」


自嘲と共に言うと海波は「そんな事ない」と否定してくれた


「人には怖い物があるのは当たり前だよ。僕は必要とされなくなるのが怖い、だから人の顔色を窺っちゃうし自分を犠牲にしてまでも役に立とうとするんだ……治せって怒られちゃうけどね」


海波の言葉は何故か俺の心に染みる気がした
何でこの人は今あったばっかりの俺にそんな事を……


「君は女性が対象だけど、僕の場合は男女問わずだから僕の方が終わってるよ?」

「そんな事ないって、今あったばっかだけど海波っちは良い奴じゃん」

「か、海波っち……?

コホン……良い奴って言ってくれるなんて嬉しいな。それなら君も良い人だよ、女性が怖いのにヨコハマから来てくれた人に会うんだから」

「でもそれ騙したと同じだよ」

「ううん、騙してない。ただ君は女の子の優しさを無駄にしない為にしたんだよ

伝わってるんじゃないかな?もし騙された!なんて思ってたらあんな必死な表情してないし、そもそも僕に頼まないよ」

「あんな表情……?」

「うーん なんて言えばいいかなぁ……助けたい!って表情?」

「助けたい……か」

「まぁ僕が勝手に感じただけだけどね」

「俺どうしたら女の子と話せると思う…?」


なんで俺はここまで話してしまうんだろう
自分で不思議に思いながらも話す口が止まらない
それでも海波はちゃんと相談に乗ってくれた


「うーん……そもそも原因は知らないからねぇ……。でも慌てる必要は無いと思う

克服する事は簡単じゃないから、えっとなんだっけな……急がば回れだっけ?ゆっくりでいいんだよ、少しづつで」


海波の声はとても心地良かった
すごく優しくて……温かくて……
もう震えていた体はとうに落ち着いていた

303話 合流できたみたいで良かったです!!→←301話 女性恐怖症



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おたくちゃん - 確かにwww (2021年5月10日 16時) (レス) id: 210f23da0b (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - おたくちゃんさん» 流石にト○ロ本体とは思いませんよw (2021年5月10日 8時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
おたくちゃん - 確かにwwwwwト◯ロ食べたいwwwwwあっ、おにぎりの方ですよ!? (2021年5月10日 7時) (レス) id: 210f23da0b (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - おたくちゃんさん» 私は左馬刻様が握ったト○ロが食べてみたいです← (2021年5月9日 11時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
おたくちゃん - 左馬刻様が作ってたおにぎり....たっ、食べたい!! (2021年5月9日 9時) (レス) id: 210f23da0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2021年4月30日 22時

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