229話 純粋な願い ページ35
「今日ね、ヨコハマまで遠足に行ったの!それで海が見える砂浜まで行って貝殻集めたの!!」
取り出したのは金色のチェーンに何個か貝殻が付いたブレスレット4個。歯を見せ笑うシュウは話を続ける
「それで皆で作ったの!お兄ちゃん達にあげる!!これいちろーお兄ちゃんの分!」
「すみません一郎さん……。シュウったら一郎さん達に渡したいって聞かなくって……」
「大丈夫っすよ!無茶苦茶嬉しいっす」
しゃがんで「ありがとなシュウ」と頭をワシャワシャ撫でてからブレスレットを1個受け取る。次にシュウは三郎の所に行きブレスレットを差し出した
「これさぶろーお兄ちゃんの分!」
「あ、ありがと……」
三郎は目線を合わさず素っ気なく言って受け取るが、口角が少し上がり頬も赤いので内心嬉しそうだ
「じろーお兄ちゃんは?」
辺りを見渡して二郎を探しているので、出掛けている事を伝えると残念そうに俯く。慰める様に頭を撫で俺が代わりに渡そうかと聞くと、快く渡してくれた
「お姉ちゃんは?お姉ちゃんにもあげたい」
「それAさんの分なんだな」
「うん!お姉ちゃんもうここに来ないの?また会いたい!」
この言葉に入間さん達の方へ一瞥を投げると、悩む様に口元を歪ませていた。これは来たと心の中でニヤリと笑い、シュウに話しかける
「ごめんなシュウ、もうAお姉ちゃんはここに来れないみたいなんだ」
「えぇ!なんで!!お兄ちゃん達の歌、歌って欲しかったのに!!」
「そこのお兄ちゃん2人がもうここに来させないって言ってるんだよ」
「ねぇねぇなんで!なんで!!僕良い子にするからお姉ちゃんに会いたい!!」
入間さんは笑顔を崩していないが口角が引き攣っている。どうだ純粋な子供に強請られると断れないだろう…!!
「少年、Aに会いたいか?」
押し負けそうな入間さんの代わりに毒島さんが口を開く。シュウに威圧感を与えない為にか、しゃがんで目線を合わせて微笑むとシュウは勢い良く首を縦に振り「うん!」と答えた
「そうか……。そのブレスレットはAの為に作ったのか?」
「そうだよ!僕の為に歌を歌ってくれたから会ってありがとうって渡したい!」
「ふむ……。山田一郎、貴殿の都合の合う日はいつだ?」
「理鶯…ッ!!」
「銃兎、この少年の純粋な願いを叶えさせなければ可哀想だ」
「それでいつだ?」と改めて俺に聞いてくる
来てくれるんだと思ったシュウはピョンピョンと跳ねながら喜んでいた
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刹那(プロフ) - 尊いさん» 尊いさん読んでくださりありがとうございます!!良かったと言って下さり凄く嬉しいです!次の章は全力制作中なのでもう暫くお待ちください!! (2021年4月25日 22時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
尊い - めっちゃ良かったです!!続き楽しみに待ってます! (2021年4月25日 22時) (レス) id: 8a111ea7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2021年3月30日 12時