217話 気分が上がると歌いたいんです ページ23
兄ちゃんに黙ってここまで来ちゃったけど大丈夫かな……
三郎の奴、自分はネットで調べるからお前は兄ちゃんに内緒で偵察しに行けって……偉そうに命令しやがって……
でも俺に出来る事はこれぐらいしかねぇし、仕方ねぇけど……。アイツ本当に兄ちゃんに黙ってくれんのか？
｢にしてもどんだけ歩けば着くんだよ……｣
長時間歩いても見える景色が変わらずイライラしてくる。三郎が言うには1時間以上歩かないと毒島のベースには着かねぇって聞いたけど遠すぎだろ……
部活の練習で階段ダッシュや山道でマラソンとかで鍛えてるけど、険しい道を長時間歩くとなると流石にキツい
足が段々と重くなってくる……
でも何か情報を掴んで兄ちゃんに褒めてもらう為に、諦めず足を動かすと奥に緑色の大きめなテントが見えてきた
｢漸く着いたか！！｣
嬉しさのあまり疲れを忘れ走り出した
｢あそこが毒島とAが住んで──うおぉぉぉぉッ！！？｣
あと少しで着く筈だったのにいきなり体が宙に浮いた。突然の事で何が起こったか分かんなかったけど、どうやら誰かが仕掛けた網の罠に引っ掛かったらしい
｢痛ェ…んだよコレ……｣
抜け出そうにも網に棘があるせいで、もがけばもがく程棘が体に刺さって痛みが走る。かといってハンモックの様に凭れても背中に刺さってしまう
何とかダメージが少ない体勢を見つけ溜息をつきながら下を見ると、俺の帽子が落ちている事に気づいた
罠に引っかかった瞬間に脱げちまったか……結構アレ気に入ってんだけどな……
｢はぁ……帰れなくなったら兄ちゃんに怒られる……｣
兄ちゃんだったらこんな時どうするんだろうと一生懸命考えていると遠くから女の声が聞こえてきた
『き…た……ぞ♪』
距離があるのか途切れ途切れにしか聞こえないが、歌を歌っているのは分かった。その声は段々と大きくなり声の主も見えてくる
『今日は大量だぞ〜豪華だな〜りおーさんに褒めてもらうぞ〜♪』
子供っぽい即興ソングを大声で歌っていたのはAだった。手には魚が入ったバケツと手作り感満載の釣竿を持っていて、俺が苦労して歩いてきた山道をスキップしながら進んでいた
俺に気づいていないらしく、歌い続けながら俺の近くを通ろうとしていた
『塩焼きにしようかなぁ♪蒸し焼きも美味しそう………』
ようやく俺に気づいたAは凍ったかの様に固まり動かなくなった。ガキみてぇな曲が止み静かになると、ヒューと風が俺とAの間に吹き抜けた
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刹那(プロフ) - 尊いさん» 尊いさん読んでくださりありがとうございます！！良かったと言って下さり凄く嬉しいです！次の章は全力制作中なのでもう暫くお待ちください！！ (2021年4月25日 22時) (
レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
尊い - めっちゃ良かったです！！続き楽しみに待ってます！ (2021年4月25日 22時) (レス) id: 8a111ea7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 | 作成日時：2021年3月30日 12時
