検索窓
今日:29 hit、昨日:22 hit、合計:8,217 hit

1178話 忘れ██た約█ ページ48

場所は変わり銃兎の家



乱数との通話を切ったAは、ラビ君をぎゅっと抱き締めながら明日の為に目の前の番組に真剣な顔を向けていた

バトルの基本的なルール、彼等の判明しているアビリティ、チームの特色。今まで行われていた戦いから専門家の様な人物が解説し、芸能人がリアクションをする初心者でも分かりやすい番組だ

ピコン、とスマホが通知音を鳴らす

画面を確認すると、どうやら理鶯が明日からのスケジュールが書かれた紙を写真で送ってくれた様だ。
先ずはBB VS MTC、次にFP VS M。次の日の決勝はそれぞれ勝ったチーム。バトルの時間なんて誰にも予想する事が出来ず、殆どに予定と書かれていたが、そこは生中継の映像から大体察すればいい


明日、始まるのか……。
再び緊張が襲って、唇を噛む。


態々写真を送ってくれた理鶯に“ありがとうございます”とメッセージを送り、番組に目を向ける


丁度番組は過去に頂点に立っていたTDDを取り上げていた。
楽しそうで、誰も勝てず、輝いていた4人。
何故解散したのか、芸能人が尋ねても解説者は謎のままと濁している。しかしそれに付け加え、憎悪を滲ませた犬猿の仲なので恐らく方向性の違いという在り来りな理由では無い、と解説者の見解を述べていた

そういえばこの番組は中王区がスポンサーだった筈。つまり犬猿の仲にさせた組織が、白々しくTDDを取り上げて謎と称して解説させる番組を放送させた


『それに加えて乱数さんに何かした……』


ころんとラビ君が床に転がる

無機質なプラスチック製の瞳が彼女を映す。
表情が抜け落ち、何も言わずただ映像を見つめ続ける彼女

次第に空気が冷たくなっているが、それを指摘する存在はいない。彼女自身は何も感じていないから


『そうやって人の幸せを奪ってネタにして……。大勢の人の前で戦わせて……』


漸く口を開かせたと思えば、普段の彼女と思えない程に低く憎悪が抑え切れていない音。映像に向けている目も瞳孔が開いていて、今にでも危害を加えそうな危うさを纏っている


彼女は立ち上がる


大切なぬいぐるみが転がっていても視界に入っていないのか、歩き出した足で軽く蹴り飛ばす


『人生をめちゃくちゃにして……泣かせて……』


彼の拘りが詰まったスクリーンの前に立つと、徐に拳を作って振り上げる


『お前達、人げ────』


ピリリ!!ピリリ!!


『っ!?』


あと少しで拳が放たれる直前、スマホからけたたましく着信音が鳴りそれを止めた

1179話 約束は守██ら。→←1177話 私は明日、本気の君と戦いたい



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
46人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。