1173話 いつもこうだろうが ページ43
「そこまでだ下郎共!!!」
リリックが飛び出すよりも早く、マイクを通さずとも圧制させる声が4人を止めさせた。
そして声だけではなく、突然使用者の意志に関係なくスピーカーは消えてマイクは元に戻ってしまう
ゆっくりと中王区の入り口が開かれる。開いた先から何人ものの言の葉党党員が駆けて彼等を囲い、マイクを構えた。遅れてゆっくりとヒールを鳴らして近づいてくるのは、内閣総理大臣補佐官及び警視庁警視総監行政監察局局長───勘解由小路無花果。
彼女はギロリと睨むと男達へ怒りの言葉を吐く
「貴様ら……ここが何処だか分かっての行動か?我々の判断で貴様らの強制的に棄権させる事だって可能なのだぞ」
「うげぇ……怖いオネーサン」
「さっさと入れ下郎共。我々は貴様らに時間なぞ使ってられん」
あからさまに嫌悪感を出す乱数なんて眼中に無い様で、彼女は背を向けて中王区内へ入っていく。
「ヒプノシスキャンセラー……か」
従うしかない彼等、大人しく着いて行き門を潜って行った
・
チーム毎に用意されたホテルは違うらしく、党員の案内されるがままに左馬刻達も高級ホテルの一室へ入る。
煌びやかな照明、見るだけでわかる柔らかい大きなベット、充実したアメニティ、悪くは無いが中王区が関わっている時点でいい気分ではない。
党員が部屋を出ていった後、左馬刻はどっかりとソファに座って煙草を吸い始めた
そんな彼に銃兎は少しイラついている様子
「おい左馬刻、最初から暴れ過ぎだ。目をつけられてんじゃねぇか」
「るせぇ、俺らは
「しかしマイクを使うのは小官もやり過ぎだと感じた」
「ハッ、やり過ぎだと?それくらいに俺様はアイツが憎いんだよ」
ふぅ……と紫煙を吐くリーダーに渋い顔をする銃兎と理鶯。
それは左馬刻の一郎嫌いに倦厭している訳では無い。彼の“加減の知らない芝居”に呆れているのだ
数日前、銃兎と理鶯は左馬刻を呼び出し、一郎と和解出来た事を報告した。勿論2人は安堵だったり喜びだったりを表情にしていたが、次に告げられた事に曇らせる
───恐らく中王区が犬猿の仲になる様に仕向けたから、暫くは犬猿の仲を演じ続ける
言いたい事が山程増えてしまったが、真剣な目と静かな圧に何も言えなかった
その時は言えなかった。がしかし、こんなに騒ぎになる程暴れられても困るのは自分達。いつ聞かれてるか分からないので、濁せながらでも文句を言いたかったのだ
1174話 約束、守れないかなぁ……→←1172話 偽善者のドグソ野郎
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作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時