1169話 納得の出来る応援の答え ページ39
理鶯は理解はしているが、やはり妬いてしまう。
彼女が言葉として出せない程、大切な存在が増えてしまった事に
彼女の中ではきっと全員を等しく応援している筈だ。しかしそれを表に出してしまえば、僅かな差が生じてしまう。彼女が納得出来る応援の答えが見つからない限り、この先もこの様な戦いがあれば応援を形に出来ないだろう
少し残念に思いながら、その温もりを手放す
やはり彼女の表情は重く、応援出来ない事に対して罪悪感を抱いているのだろう
何か言葉を与えなければならないが、今の理鶯には嫉妬が滲み出てしまいそうで正しい言葉が作れない。ただただ頭を撫で、彼女に背を向けた
「では行こうA、きっと迎えが来ている筈だ」
『はい…!!』
・
────山を降りてアスファルトで整えられた道に出れば、銃兎の車が待っていた
2人の姿を確認するや否や車から降りてきた銃兎と左馬刻。多少ピリついている雰囲気だったが、Aを見た事によって和み、柔らかな笑みへと変わる
「おはようございますAさん」
「よォA」
『おはようございます!!左馬刻さん銃兎さん!』
「ふふ、朝から元気で───っちょッ!?」
「うぉ!?」
嬉しそうに駆け寄ったAは、その勢いのままに2人纏めて抱き着いた
突然のらしくない行動に声を上げる2人。そして後ろから見守っている軍人は信じられないと言いたげに目をかっぴらいている
『えっへへっ、』
何故抱き着いたのか理由は言わない。ただ嬉しそうに笑うだけ
朝から心拍数が上がった2人だが、これも悪くないと遅れて彼女を抱きしめ返す
「どーしたぁ?やけに積極的じゃねぇか」
「そうですねぇ?何か怖い夢でも見ましたか?」
『子供じゃないのでそんな理由でしないですよ!!』
子供扱いされて怒るA。迫力の無いソレが可愛らしくて、2人は彼女から離れた後でも頭を撫でたり頬を摘んだりちょっかいを出し始めた
『むっ!?ちょ!?』
「ハハッ、なんつー顔してんだよ」
『それ、はっ、む、銃兎さんが摘んで!!』
「クククッ、良い緊張解しですよ。ねぇ理鶯?」
視線が自分に向けられた理鶯は、同意と言わんばかりに微笑んで3人に近付く。そして銃兎が摘んでいる頬の反対側の頬を摘み、彼女をイジメに入った
『んむ!!?』
「ハッハッ、銃兎の言う通りだ」
「マジかよ、俺様にもやらせろ」
本来ピリついていたであろう状況だったが、Aの──主に頬のおかげで和やかになった
1170話 皆さん行ってらっしゃいです!→←1168話 DRB決勝トーナメント前日
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時