1165話 また会いましょう ページ35
寂雷の視界には帝統が乱数に対して縋り、必死に何かを訴えている姿が見える。その横には幻太郎が肩を竦めて呆れ切っていた
それが彼等の日常なのか、と興味深そうに寂雷は見守る
「もぉー帝統ってば、いつになったら勝てるの?Aちゃんにミサンガ貰ってなかった?」
「あ、あれは幻太郎に預かってもらってんだ!」
「えぇ!?何で!?」
「帝統が言うにはあれがあると勝てるらしいですよ」
「じゃあ持ってればいーじゃん!」
「それじゃあスリルねぇだろうが!!勝ち確のギャンブルなんて何も面白くねぇ!!あの神アイテムは本当に命がヤバイ時に持つって決めてんだ!!」
「理解出来ませんよねぇ。このギャンカス仇返し」
「まぁ賭けに使わなかっただけマシって思うけど……。ってか今がヤバイ時なんだから幻太郎から返してもらいなよー」
「いやまだヤバイ時じゃねぇ!!まだ最後の砦の乱数がいるからな!!」
「乱数、今すぐこの害虫を入間さんの所に連れて行きましょう。そして碧棺さんに沈めてもらいましょう」
「ヒィ!!何でだよ!!Aやミサンガに何もしてねぇだろうが!!」
「折角頂いた物を、スリルが無くなるからと持たないなんて失礼極まりない。その結果仲間にたかるなんて、救えない」
「幻太郎がいつも以上に辛辣!!?」
「当たり前です。今まで許していた分、今回は我慢なりません!ねぇ乱数!!?」
どうやら揉め事のようだ。飴村君はどう行動を起こすのか
寂雷は気配を成る可く消し、目が合わないように様子を窺う
「んーホントはそうしたいけどー、今日はとっても気分がいいんダ☆ラッキーだね帝統っ!」
「は?乱数?」
「マジで!!?飯食わしてくれるのかぁ!?」
「そーだよ☆だから今日はオールナイトでパーティだぁ!!」
「あの!小生締切が……」
「そんな事は気にしなーい!行っくよー!!」
「おー!!」
乱数は2人を引っ張り走っていく
中々に騒がしいチームだ。それでも彼はとても楽しそうで、いい仲間を見つけたのだと寂雷は帰ろうとする
────その瞬間。笑顔な彼と目が合った
“アリガト、また会おうね”
そう乱数の口が動いた気がした。
その“また”というのはDRBを指しているのだろう。昔彼が死ぬのが怖いと幽霊が苦手になった事を思い出す。人一倍死に対して恐怖していた彼が“また会おう”と自分に言った
何故だがそれがとても重く聞こえ、同時に嬉しくも感じた
「また会いましょう、飴村君……」
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作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時