1134話 思い出探し ページ4
『そういえばカツ丼冷めてしまいましたけど、大丈夫ですか?』
「無問題さ。それより、僕の所為で遊ぶ時間が短くなってしまったね。ごめんよAちゃん」
『いいえ!2人の事を見たから私のズレが治ったんです。寧ろ感謝してます!』
席に戻った2人は残っていた料理を食べ始める。すっかり冷めてしまったが、味は美味しい。突然変化した彼女に戸惑いはありつつも、良い子な事に変わりはないので穏やかな表情で会話は進んでいく
「ズレが治ったって言うけど、性格が変わったって感じたの?」
『うーん……さっきまでは思った感情と過去の行動の違いがあった気持ち悪かったんですけど、不思議と今は過去の違いがあってもこれは自分だって自信もって思えるんです……』
『えっと……伝わりました…?』と苦笑いで首を傾げるAに、独歩と一二三は目を見開いた後安堵するように目を細めた。彼等の目に映るのは頑張った表情ではなく、自然出てきたと感じれるモノ。
「そっか…それなら良かった。なら先生にちゃんと報告した方が良いね。先生もAさんの事心配していたから」
『はいっ。寂雷さんには相談の相手になって頂きましたし、伝えないと……!!』
「ふふ、でもその前にもっともっと僕達と遊ぼうか。カラオケ、ボウリング、ゲーム、まだまだ楽しめる場所があるからね」
『了解です!』
「次は何処に行くんだ一二三?」
「そうだね……Aちゃんは興味が惹かれたモノはあるかな?」
微笑みを向けられたAは、どれも興味が惹かれるモノばかりなので腕を組んで唸りながら考えた
過去をある程度思い出せた彼女。そんな今の彼女の頭の中で、懐かしい記憶がふわっと思い起こされた
自分の記憶で選んでいいモノなのか。再び悩むAだが、そんな彼女に一二三は口を開いた
「Aちゃんの行きたい所でいいんだよ。君にとって良い刺激になったらいいなって僕も思ってるから」
『一二三さん……』
「俺も一二三と同意見。ただ遊ぶより、楽しみながら思い出探しするのも大事だと思う。だからAさんが行きたいところに行こっか」
優しいお兄さん2人の表情にAはパチクリと瞬きし、満面の笑みを浮かべた。
『ありがとうございますっ!で、ではですね……─────』
もじもじと恥ずかしそうに頬を赤らめたAの行きたい場所。それ聞いた2人は少し意外そうに目を見開いた後、笑顔で頷いた
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時