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1157話 もうアンタの事を“左馬刻さん”なんて呼ばねぇ ページ27

「オイ一郎、いい加減“さん”付けしろよダボ」


穏やかな表情から、少しムッとしたモノに変わった左馬刻。イラつきと言うより、さっきまで呼んでくれていたのにと言うショックがある様だ

そんな彼に、一郎は真っ直ぐと決意に満ちた目を向ける


「いや、もうアンタの事を“左馬刻さん”、なんて呼ばねぇ」

「あぁ゙!!?何でだよッ!!」

「もうアンタは憧れの人じゃなくて越えるべきライバルなんだ。そんな奴に“さん”なんて呼んでたら、いつまで経っても越えられねぇ。だからこれは俺の決意表明だ。左馬刻、オレはもう直ぐ始まるDRBでお前を倒す」


一郎はそう宣言すると握っていた黒く光るマイクを前に突き出し、覚悟を示した。
芯がある言葉に、左馬刻の紅い目は大きく揺らぐ。すると頭をガシガシ荒っぽく掻き、小馬鹿にしたように口角を上げた


「っ、…………ったく。随分と生意気な餓鬼になりやがったな。簡単に俺様を倒せると思うなよ……────一郎」


マイクを握る拳が、一郎の拳と突き合わさる。
漸く、漸くすれ違いがなくなった2人は、明るい笑顔を交わし昔と全く一緒とまではいかないが、在るべき形に成っていく

マイクを仕舞った一郎は、左馬刻へ笑顔を向ける


「左馬刻、さっきの話だが勿論力を貸す」

「一郎……!」

「Aは俺達のダチだからな」

「ふっ……悪ィな。何かに巻き込まれた訳じゃねぇんだが、そろそろ俺らからも動かねぇと取り返しがつかねぇ気がしてな」

「確かにさっきの話を聞いてても、博士って奴が段々とAに近付いて来てる気がする」

「あぁ」


左馬刻に向けられていた視線は、頼れる弟達に向けられる。それを感じ取った2人は、得意げな表情になって声を響かせた


「監視カメラやネット情報は僕に任せて下さい!!」

「聞き取りなら俺に任せてよ!!ヨコハマだったとしても、いつもみたいに情報取ってくるよ!!」

「ははっ、頼りにしてるぜ。二郎、三郎!」

「ふはっ、サブロークンは良いが、ジロークンは間違ってオートマタの事を誰かに喋んじゃねぇぞ?」

「なっ!!そ、そんなヘマしねぇし!!」

「安心しろ、二郎はそもそもオートマタっていう単語すら頭に入ってない」

「はぁ!?んな事ねぇし!!」

「じゃあ聞くけど、そのオートマタを使ったプロジェクト名覚えてる?」

「あ、あれか、その……さっきまで覚えてたんだけど……」

「ほらね」

「そりゃ安心だわ」

「うううるせぇな!!」

1158話 頼り頼られ支え合う家族→←1156話 ぶつかり合うリリック、握るその手。



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作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時

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