1151話 パーティから宥める会 ページ21
養ってでも家にいて欲しい独歩、一人暮らしも別にいいけど不安だし泊まりに来て欲しい一二三、彼女の意思を尊重したいが不安要素が多すぎてさせられない寂雷。
感情の出発地点は違えど、辿り着く答えは一緒。一人暮らし断固反対
きっとMTCの3人も反対するだろうと思いつつ、頭ごなしに言うのではなく、Aに納得してもらう形に導こうと眠たくなってきた頭を回転させて口を開かせた
｢Aさん、先ず君は大人に分類される側だと言いますが、そもそも経歴が異端過ぎます。学校に行き、会社に勤め、なんて経験がないまま今に至るので、焦らずしっかりと社会を学んでから一人暮らしを目指すのは如何でしょう？｣
『うぅ……そうですかね…？』
｢センセーの言うとーり！だって、世の中には合鍵を勝手に作って部屋に入り込んでくる人だっているんだから、お人好しのAちゃんが一人暮らししちゃったら皆ヒヤヒヤもんよ？｣
｢決してAさんを閉じ込めたい訳じゃないんだよ…！？でも俺達も不安だからさ、少しずつでいいんじゃないかな…？先ずはコツコツと週一のバイトとかでお金を貯めて、短期間だけでも部屋を借りて試してみるとか……｣
｢っていっても、マットリが監視してそーだけどなー｣
｢まぁそうだよな……｣
『バイト許してくれますかね……？』
｢左馬刻君達の知り合いの店なら許してくれると思いますよ。───でもタイミングがありますから、急がず見極めて相談してみてはどうでしょう？｣
『は、はい！そうしてみます！！』
今日出掛けたからなのか、Aの向上心は目を見張るものがある。会社で精神が擦り切れ状態の独歩からすれば理解出来ないのだが、大人の階段を登ろうとしている点では感動モノ。段々と彼の視界が歪んできた
｢ぐすっ、う、うぅ……Aさんが、立派に育ってっ、俺なんて、こんななのに…っ、｣
『えぇ！？何で泣くんですか！？』
｢あーあ、独歩っぽのスイッチ入っちゃった｣
｢どーしよ…世の中の汚い部分に触れてやさぐれちゃったら……っ、考えるだけで不安で寝られないよぉ……！！｣
｢独歩君独歩君！大丈夫だから…！！まだバイトも決まってないから考え過ぎは良くないよ…！！｣
『独歩さん！汚い部分はよく分かりませんが、何かあったら相談しますから！！ね！』
｢うぅ……｣
楽しい楽しいパジャマパーティは、いつの間にか独歩宥める会になり、それが独歩が安心して寝れるまで続きましたとさ。
1152話 彼の所へ訪れる左馬刻→←1150話 まさかの憧れ
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作者名：刹那 | 作成日時：2024年3月4日 0時
