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1142話 朝のマウント返し ページ12

反省した2人は静かに料理が並べられたテーブルの前に座る。心做しか左馬刻の双葉も萎れている
それをこっそり一二三が撮影。


───なのだが、しっかりとシャッター音が部屋に響いてしまった


「テメェ……また撮りやがったな…?」


地を這うような低い声だが、先程のやり取りを見れば怖くも何ともない。現に理鶯にバレないような小さい声、迫力なんてある訳が無い

一二三は余裕の笑いで返した

男達は皆座り、Aは何処に座ろうかと考えていたところ、理鶯はポーカーフェイスでも自信に満ちている表情で、胡座をかいた足の部分を指して口を開く


「さぁA、小官のここに座るといい」

「さぁ、じゃないんですよ理鶯っ!!何自然と座らせようとしてるんですか!」

「どうした銃兎?絨毯があるとはいえ、遊んだ後に長時間床の上に座ると痛みが生じると彼女の身を案じての発言だが?」

「日本にはね!クッションや座布団という物があるんです!」

「え、えと……持って来ますね…?」

「貴殿が動く必要は無い。彼女がここに座れば解決だ。なに、安定感には自信がある」

「自信があっても困ります!わいせつ罪でしょっぴくぞ!!」

「理鶯君、話が進まないから独歩君に頼もうか」

「マジで俺らがさっきキレられたのが納得いかねぇ……」


Aが声を出す暇も無く、独歩は立ち上がってクッションを取りに行く。程なくしてグレーの丸い柔らかなクッションが届き、Aは無事床の上に座れる事に


「チッ、」

「あからさまに態度に出さないで下さい理鶯……」


少し苛立つ理鶯と呆れて溜息を吐く銃兎のやり取りを横目に、クッションを持つAは迷いなく独歩と一二三の間に座った
その瞬間、ビシッ、とショックを受ける音が彼女の前の3人から聞こえたような聞こえなかったような

絶対に自分の隣だろう、という何処から出て来るのか分からない自信を持っていた3人は、バレてはいけないと顔に出さない様にしていたが、視線が下がっていたり双葉がよりペタンとなっていたり震える手で眼鏡を上げ直したり動揺が明らかに見える


「ふふ、Aさん珍しいね。今日のお出かけで2人ともっと仲良くなったのかな?」

「チョー仲良しになったもんね!次カラオケに行く約束もしたし!」

「そうですね。土産話もありますし、食べながらお話出来ればと……」


朝のマウント返しだ。
Aの気付かないところで、MTCと麻天狼の間に火花が散った

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作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時

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