1039話 泣かせんじゃねぇぞ ページ9
「さて、そろそろ餓鬼共を呼ばねぇと乗り込んで来そうだ。A、電話でも良いから呼んでやれ」
『分かりました!』
「あぁそうそう。今の昔話はアイツらには内緒だぞ?」
『勿論です!!』
彼の言葉に強く頷いたAは早速スマホを取り出し左馬刻に電話を入れた。Prrrと鳴り始めるAのスマホ。直ぐに出るかと思われたがそんな様子は無く、代わりに近付いてくる大勢の足音が2人の耳に届いた
「Aッ!!!」
戸を力強く開け息を切らして先ず入って来たのは銃兎。彼は入って来るなりAの下へ駆け寄り、護る様に安否を確認する様に抱き締めた
『じゅ、銃兎さん!?』
「あぁ…良かった。良かった……ッ!!お前何も飲んでないな!?」
『の、飲む……?えっと…お茶ぐらいしか……』
「何だと!?今、体の不調は──」
顔を真っ青にしてAの両肩を掴んだ銃兎の言葉を遮り、「Aッ!!!」と左馬刻の理鶯が叫んだ。いつも通りなAを見るとホッとした顔を見せるが、直ぐに退紅を睨み出す3人
「入間、安心しろ。ただの茶だ。心配なら調べてもいいが、普通の成分しか出ねぇよ」
「火貂退紅……ッ、Aと何喋っていやがった……!!」
グ……とAを抱き締める力を強める。怒りしか感じられない表情にAは戸惑い、きっと誤解しているのだと声を出そうとすると、それよりも先に退紅が笑い声を上げた
「ハハハッ、なぁにただの世間話だよ。テメェらがAを捨てきれねぇから、忠告してやったんだ」
「っ……」
怒り一色だった銃兎の表情が憂いを帯びる。そしてゆっくりと悔しそうに歯を食いしばり、またAを強く抱き寄せた
「オヤジ……」
「左馬刻、この女を大事にしてぇなら縁を切るのを勧めるが、そんな気はねぇんだろ?」
「あぁ、もう決めてんだわ。もう手放す気なんてねぇ」
「そうか……」
即答した左馬刻。そうだろうと踏んでいた退紅は、鋭い視線のまま3人へ向ける
「Aは覚悟で俺に示した。テメェらは行動で示せ。絶対ェ泣かせんじゃねぇぞ」
思わぬ言葉に3人は目を見開き息を詰まらせる。一体2人は何の話をしたのか。その予測は出来ないが、退紅の言葉の答えは考えるまでもない
──────“当たり前だ”
一字一句違えず発せられた3人の言葉は、彼等の決意の硬さと4人の絆の強さを物語っていた。その言葉に退紅は、何も言わず瞼を閉じて彼等の表情を脳に焼き付けたのであった
1040話 走る痛み、悲しそうな彼→←1038話 火貂退紅との約束
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時