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1038話 火貂退紅との約束 ページ8

力強く、決意に満ちた言葉。その迫力だけでもAの肌はピリピリする程に
火貂組の成り立ちを聞き、ここは本で見た組織とは異なる行動指針の組だとAは感じた。法に完全に外れた組織だ。それでもここはここなりの筋を通す人達。感動なのか胸が激しく、熱く震えていた


「だから俺の組はヤクがご法度。それでシノギをやろうモンなら落とし前をつける。…………と言っても、餓鬼共には俺の昔話なんざ聞かせた事はねぇが。だが可愛い餓鬼共は、ちゃんと守ってくれてんだ」

『そう、だったんですね……。それでここまで大きくするんですから……凄いです……』

「もうそれしかねぇからなァ……償い方はよ……。俺のシマでは、俺みたいにヤクで家族を失う奴を出したくねぇんだわ……」


「だから……」と退紅はAの目を真っ直ぐと射抜く。ビシッ、と自身に言われる事を受け止める為に姿勢を正した彼女へ、退紅は子供に言い聞かせる様な口振りである事を約束させた


「どんな事があろうと、ヤクには手ェ出すんじゃねぇぞ。辛くても、寂しくても、救いが欲しくてもあのヤクには頼るな。あんなの救いでも何でもねぇ。大切な人への裏切り行為だ」

『は、はいッ!!』


1番声を張り上げて返事をすれば、満足気に頷く退紅。徐に立ち上がりAに近付くと、まるで良い事をした子供を褒める様に彼女の頭を優しく撫でる


「まぁ、さっきの言葉を聞けば心配はなさそうだがな」

『あ、あの……もしかしてさっき渡そうとした物もヤクと呼ばれる物なんですか……?』

「あぁそうだ。大抵の奴は今みてぇな甘い言葉で渡してきやがる。体が楽になるだの、気分が晴れるだの適当な事を言いやがってな。飲めば、確かに幸福感に包まれるがほんの一瞬よ。効果が切れればまた欲しくなって体を段々と壊していく。最終的には薬を飲んでも苦しんで自分から命を絶つ。悪魔の薬だ」

『っ……』


漸く知れたあの薬の本性
あの時オヤカタから貰った薬は、偶々トラウマがあったから飲まなかったが、もし飲んでいたらと考えれば戦慄が走る。


「ありがとうございます、なんて言って貰いやがったらと思ったが、感動する程に歯切れの良い言葉を吐いちまってなァ?これからもヤクを渡そうとする輩にはそう言い切ってぶん殴れ」

『了解でありますっ!!』


ぽんぽんっ、とAの頭を撫でた退紅は再び自分の席に座り直し、腕を組む。表情は穏やかで何処か嬉しそう。Aを見る目も保護者の様な温かみを帯びていた

1039話 泣かせんじゃねぇぞ→←1037話 火貂組の成り立ち



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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時

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