1074話 “否定”を探しに。 ページ44
「────成程……話は理解出来ました」
時は過ぎ、場所はシンジュクディビジョン寂雷の家。
MTC3人が話し合った結果、名医である寂雷に話をして“否定”の手段を探す事に決めた
データをノートパソコンに保存し、寂雷には“大事な話がある”と連絡を入れて時間を作ってもらった。
そして当日。深刻な表情のままに寂雷の家を尋ねた3人は、寂雷が出したお茶を一滴も飲まず理鶯が抱えていた全てのデータを見せる
────オートマタになったばかりのAは攻撃的で、人を恨んでいた。見た目に合わず静かで大人びた言動
しかし感情を消去する過程で記憶を弄ると性格に影響が出る事が判明し、施設の者は記憶の改竄を行った
その結果、日によって性格と記憶が変動し、無邪気な性格の時もあれば、静かで大人しい時、怒りの感情のままに暴れる時もあった
最終的には相手の言動を見て、その人物が望む行動を取る様な都合のいい性格を生み出した。つまり、既にAの意思はそこには無い。だがA本人はそれが自身の本心だと認識している
これらはハカセが残した日記の、隠されたデータに書かれていた事。それら全てを要約すると、彼女の現在の性格の真実が告げられていた
残酷な事実に寂雷は眉間に皺を作り、震える声で言葉を落とす。非人道的、悪逆無道。贖罪の為に人を救う寂雷にとって、到底受け入れられる話では無い
しかしその感情を爆発したところで何の解決にもならない。冷静に反応する事を心掛けながら、視線は3人へと向けられる
「この話が本当なのであれば、Aさんは我々の願望を察知しその様に行動していた、という事になりますね……」
「あぁ……。笑い、泣き、時には怒りを表現してくれた全て、小官達の願望に反映した行動。それがこのデータから得られる情報だ」
寂雷は瞼を閉じ、過去のAを顧みる。子供の様な純粋な顔や、大人びていて安心感を抱かせる顔。
ゆっくりと瞼を上げた寂雷は、静かに医者として自身の意見を述べる
「───まだ医学では記憶や感情等脳に関する事は全て解明出来ていません。なので私がこれから話す事は今までの経験からの推測であり、断言出来るモノでは無い事を理解して下さい」
「あぁ……」
「このデータによると、記憶の改竄で性格が変わったと書いてあります。という事は今までの彼女の言動から考えると、作られた感情と言うのは理性を差すのではないでしょうか?」
1075話 何も変哲も無かった旅行の頃の彼女。→←1073話 One for All.All for One.
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時