1073話 One for All.All for One. ページ43
静寂な夜の中で王の声が心の臓にまで響き渡る
王の怒りの意味が瞬時に咀嚼出来ず理鶯は固まっていると、返答が無い事に苛立った彼は詰め寄って捲し立てる様に吠えた
「ンなモン独りで抱え込んでねぇで俺らに言いやがれッ!変な気ィ使いやがってよォッ!!」
「さ、左馬刻……?」
「作り物だか何だか知らねぇが、だからどうした!そんなんで俺らがアイツの事を信じねぇとでも思っていやがったか!?あぁ゙!!?」
「違う…小官は──」
「だったらテメェが背負おうとしてるモン俺らにも背負わせろボケッ!!何の為に俺らが居ンだよォッ!!」
「──っ……」
「こちとらAが何者でも絶対ェ護るって決めてンだわッ!!先走ってンじゃねぇ、俺らも巻き込みやがれッ!!それが俺らのやり方だろうがァッ!!」
紅き瞳で燃えるは決意の炎。その迫力に圧倒された理鶯はただただ「左馬刻……」と王の名を呼ぶ
「One for All.All for One.それが我々のチームとしての在り方。抜け駆けだなんて水臭いですねぇ。────………お前独りで“否定”が見つからねぇのなら、俺らも手伝う。そっちの方が可能性上がるだろ」
翠の瞳に灯るは覚悟の光。心強い仲間に今度は「銃兎……」と自身と王を繋げた者の名を呼ぶ
「過去のアイツで見つけらンねぇなら、今のアイツで見つけようぜ理鶯……」
胸倉から手を離した左馬刻は、銃兎と共に野営地へと踵を返す。頼もしい2つの背中を眺めていた理鶯は静かに視線を落とし、手で掬いとった
「一体どうやって見つけるんです?」
「ンなモン考えたらいつか思い付くだろ」
「結局ノープランかよ」
「仕方ねぇだろ。つーか、人体の事ならセンセー分かんじゃねぇか?」
「他人任せか」
「るっせぇな、文句ばっか言ってねぇでテメェも考えやがれうさポリがよォ」
「っ、俺はまだあのデータを詳しく見てねぇから何とも言えねぇよ」
「それもそうか」
仲間の1人が着いて来ていない事に気付いた左馬刻と銃兎。同じタイミングで振り返れば、片方は微笑みを片方はニヤリと笑みを浮かべて名を呼んだ
「「───理鶯。」」
「戻りますよ」
「さっさと帰ンぞ。テメェがいねぇと罠に引っ掛かるだろうが」
そよそよと穏やかな風が吹く。不思議と刺す様な冷たさは感じず、安心する様な感触。
胸の中で熱く沸き起こる感情を敢えて抑える彼は、感謝の思いを口許に乗せ応えた
「───あぁ、戻ろう。彼女の下へ」
1074話 “否定”を探しに。→←1072話 俺ら3人でMAD TRIGGER CREWだろうがァッ!!
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時