1070話 裏切りとは。 ページ40
────理鶯が淹れた珈琲を飲んだ4人は、暫く平和な会話をしていた。先程の不穏な雰囲気は何だったのか。Aは戸惑いつつも、深く聞く事が出来ずに時が流れていく
そして夜になり、寝る時間となった理鶯はAを寝かせた
いつもなら一緒に寝袋に入り寝るのだが、彼女には“大事な任務がある”とだけ伝え、仲間2人と共にテントを後にした。勿論奇襲を警戒し罠は多めに仕掛けて
・
3人が足を運んだのは皆で夜空を仰いだ場所。ここなら野営地から少し遠く、会話が届く事も無い。遠い街の仄かな光が3人を照らし刺す様な冷たい風が吹く中、左馬刻は理鶯と向き合い鋭く睨む
「───理鶯ぉ……先ずは腹に力入れろや」
重く響いた後、遠慮なく左馬刻の拳か理鶯の鳩尾に深くめり込んだ
「──ングッ!!」
軍人といえど、真正面から受ける若頭の本気の拳には応えるらしい。歯の隙間から苦悶の声が漏れ、眉間に皺が深く刻まれていた。しかし膝から崩れ落ちる事はなく、ただ静かに体勢を直して2人を向き合った
「顔じゃねェだけ有難いと思え」
「あぁそうだな。顔だとAが心配してしまう」
一発殴った所で左馬刻の怒りが収まる事は無い。銃兎も仲間である筈の理鶯を軽蔑の色を含んだ目で睨んでいた
「我々に裏切りは無い。それは理解していますよねぇ?」
「あぁ」
「では聞きますが、貴方にとっての裏切りはなんですか?」
「………言葉の意味を答えるのであれば、味方に背き敵方に寝返る事だが………」
罪の意識で目を伏せる理鶯。だが直ぐに向き直し、口を開かせた
「仲間へ意図的に重要な情報を共有せず、独断で行動をしていた事も含まれると小官は考えている」
「へぇ?答えられるんですねぇ?それを分かっていながら我々に黙っていたのか、自覚がないのか。まぁ……今となってはどうでもいいですが」
「──ッ、」
ザク、ザク、と雑草を踏み潰しながら理鶯へと歩み寄る銃兎。至近距離になった瞬間胸倉を掴み、抑えきれない怒りのまま地を這う声を吐いた
「あのデータは何だ……ッ!!何で俺らに言わなかった理鶯ッ!!!」
「っ………すまなかった…」
「俺が欲しいのは謝罪じゃねぇんだよ!!説明しろっつってんだろうが!!」
「……銃兎、Aが起きちまうかもしれねぇ」
「っ、そう、だったな……」
怒りが限界を超え恐ろしい程に静かなリーダーは、煙草に火をつけふぅ……と紫煙を吐く。その煙を眺め、左馬刻は数時間前を思い出した───
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時