1069話 隠したかったモノ。 ページ39
『えへへ……すみません理鶯さん……』
「全く……肝を冷やしたぞ。今回はあの罠だったから良かったが、次からは気を付けるんだ」
『はい……』
捻挫等の怪我はしなかったが、念の為と理鶯におんぶされているA。溜息を吐く理鶯は、零れ落ちていた薪を後で回収すると決め、先ずはAを野営地に運んでいた
徐々に見えてきた野営地のテント。しかし理鶯はそのテントの前で待っていた人物達に顔を顰めた
「理鶯……」
攻撃性を感じる鋭い光を宿した紅と翠。リーダーから落とされた声は怒りを孕み、理鶯の表情は険しいまま。
ピリついた空気、背負われていたAは首を傾げ戸惑いの声を漏らす
『左馬刻さん…銃兎さん……?』
「こんにちはAさん。丁度仕事が一段落したので、貴女の顔を見に来たんです」
何事も無かったかの様に笑顔になった銃兎だが、それは作り物である事は容易に分かる。しかも圧は隠されておらず、Aの顔色は晴れない
何故2人が不穏な雰囲気を纏ってるのか。理鶯は2人の様子を隈なく観察した
「っ!!!」
────そして気づいた。
左馬刻と銃兎の奥のテント。入口は閉じられているが、チャックはされていない。なので風が吹き、その拍子に隙間からパソコンの画面に電気が点いているのが見えたのだ
「…………そうか。ならば珈琲を用意しよう」
あくまで普通を装い、2人に声を掛ける。Aを焚き火の前の椅子に座らせ、珈琲の準備の為に2人の間を通り過ぎた
その瞬間。
「………後でツラ貸せや」
Aに聞こえない声。小さいモノであったが、拒否権なんて無い圧が込められていた。一般人ならば恐れ戦くが、そう言われると予感していた理鶯は目を伏せ「了解した…」とだけ答える
『………?』
青い目は不安げに3人の方を見ている。それに気付いた銃兎は、Aの隣に座り頭を撫でた
「理鶯におんぶされていましたが、何処か怪我でもしたんですか?」
『え、あ、その……罠に掛かっちゃいまして……』
「ふふ、ずっと私や左馬刻の家にいましたから、場所が分からなかったんですか?」
『大丈夫な道だと思ってたんですけどね……えへへ…』
勘が鈍ったと恥ずかしそうに笑うAを見る左馬刻と銃兎の目は悲しげだった。銃兎と挟む様にAの隣に座った左馬刻は、柔らかい頬を摘んで微笑みを作った
「なら俺のトコに住むか?此処は危ねぇしな」
『うむッ……!?』
「ど間抜けが。それなら俺の家だ」
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時