1034話 寂しさは証拠 ページ4
──未だに険しい表情の退紅。だがそれは言う通りに受け取らない彼女に対して苛立っているからという理由ではなさそうだ
彼の意図は読めないが、Aは恐れず意志を真っ直ぐに伝えた
『私は地獄の様な日々を知っています。知っているからこそ、普通がどれ程幸せなのか、平和な日常が如何に尊いのか知っています。それと同時に、戦って得たからこそ、彼等といれる日が大切で愛おしい日々なんだと思えるんです』
Aの語りには退紅は口を挟まない。ただ静かに聞き入り、見据えている
『幸せが当たり前なんて、そんなの思ってしまうから寂しいんです。左馬刻さん達がずっといてくれるなんて、当たり前だって思うから僅かな独りの時間も寂しいんです。だから独りにならない様に私も戦うんです』
｢へぇ、何と戦ってんだ？｣
『もし彼等に何かあったら一緒に戦える様に理鶯さんから武術を学んでます。もし私の手にマイクがあったら助けられる様にラップを学んでます。もし貴方が私に危害を加えようとするなら、助けを呼びながら反抗します。彼等が私の傍に居てくれると約束してくれました。だから私も彼等から離れない様にします』
Aは自分の意志の強さを見せつけるようにマイクを構える。そして静かに目を伏せる
『………それでも、彼等と一生離れる事があったなら、その寂しさを忘れずに生きていきます。その寂しさは────彼等と過ごした日々が愛おしいかったからこその“証拠”なんですから。その証拠を否定してまで、それに頼りたくありません』
伏せられた瞳は力強い光を持ち、退紅を鋭く射抜いた
｢………ならもしアイツらの所為で、お前が辛い思いや死んだ方が楽な目にあっても後悔しねぇのか？｣
『はい。もしそうなったなら、笑える日が来る様に足掻きます。例えその先に地獄が待ってたとしても、諦めずに足掻きます。彼等がそうしている様に』
退紅は顔を静かに伏せた。何を思っているのか、何故黙るのか。一瞬でも気を抜いてはいけないと、Aはマイクを強く握る。
いきなり口にソレをねじ込まれるかもしれない。そう口を結び、反応出来るように重心を前に傾けた頃、退紅の肩が僅かに震え始めた
｢────ふっ、｣
その揺れは段々と強くなっていく
｢ふっふふふ、｣
それが何の揺れか分かった瞬間、Aはつい面食らう
｢ダァーッハハハハハハッ！！！！気に入ったぁッ！！左馬刻の野郎、良い女見つけてんじゃねぇかァッ！！！！｣
1035話 左馬刻が入れ込んでいる女→←1033話 膨らむ恐怖。帰ってくると約束したのに
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます！これからもまったりマットリを堪能させていただきます！ (1月8日 17時) (
レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ！ (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません！最新の小説、更新された瞬間に見ることができました！これからも頑張ってください！ (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか！？(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます！嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう！ (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 | 作成日時：2023年11月29日 10時
