1052話 火貂組の事務所にて ページ22
─────次の日。
太陽がもう直ぐ真上にやって来る頃。火貂組若頭の碧棺左馬刻がポケットに両手を突っ込み、ヅカヅカと苛立ちを隠さずに火貂組の屋敷の門を潜った
何故彼がここまでイラついているのか、理由は簡単。ヤニ切れだ
精神安定剤の煙草は事務所に忘れ、街中にあるたばこ自動販売機も彼が愛用する銘柄だけが品切れ。とことん朝からツイてないだけだ。
一般人であれば仕方がないと片付けられる事柄でも、ヘビースモーカーの彼なら大問題。突風が吹くだけでイライラしてくる。風で幟が揺れるのがムカつく。もう何だか分からないがとにかく全てが気に食わない。つーかいつになったらAは弁当届けに来んだクソが。
こんな状態ではシノギどころでは無い。そう左馬刻は一旦切り上げて事務所に戻って来たのだ
すれ違う舎弟皆が左馬刻の顔を見るなり恐れ慄く。その様子だけもイラッとする。無駄に命が散る前に、彼は事務所の扉のドアノブに手を掛けた
「───!──!」
「──。」
「───ッ!!」
扉の奥で聞こえる賑やかな声。何やら大勢で盛り上がっているらしい。俺様のテリトリーで何遊んでやがンだぶっ殺す。
イライラのメーターが振り切ってしまった左馬刻は、瞳孔を開かせた目のまま、扉を怒りの限り勢い良くぶち開けた。
「お嬢っ!どっちだと思います?」
『んー…………こっちです!!』
「残念ジョーカーっす〜」
『うがぁー!!またジョーカー!!』
「ふふっ、何故こうも見事に2分の1を当てるんですか」
『私だってびっくりですよぉ…。もしかして銃兎さんなら分かりました?』
「相手の目を見れば大体は。Aさんも意識してみてはどうでしょう?」
「あっ、入間さんアドバイスは反則っすよ!」
「ダハハハッ、お前ら元気で良いな」
────左馬刻の視界に映るのは、とてもシュールな光景。強面の男達数人とAと銃兎。彼らがソファに座ってテーブルとカードを囲いババ抜きをしていた。少し離れた所で退紅も座って見守っており、完全にパーティ状態だ
彼らの会話から推測するに、Aの手札にジョーカーが渡ったらしい。左馬刻にとってはどうでもいい事だが
「テメェら………ッ!!!俺様の陣地で何してやがるぶっ殺されてぇのかァァアアアアアッ!!!!!」
半場八つ当たり半場正当なツッコミの怒声がまたも屋敷内に響き渡る。彼の声が響くのは2日連続だ。そろそろ2日とも何も知らない舎弟が恐怖で失神するだろう
1053話 火貂組の舎弟達は驚愕する→←1051話 交わされた指切り
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時