1051話 交わされた指切り ページ21
難しい難しいと涙目で言っていた彼女が心を震わすラップをした。ワンヴァースでも成長を強く感じるリリック、最初の様な焦りを感じさせない自然なフロー
ヒプノシスマイクを使いこなして見せたAは、アンサーを促す様にマイクを解除してから持ち手を銃兎に向けて差し出す
微笑みのAは何も言わないが、輝いている目が銃兎のアンサーをとても楽しみにしているのが手に取る様に伝わってしまう。
大きな期待だがアンサーを求められたなら、マイクを武器とするMCとして、ヨコハマディビジョンの代表として、MTC2番手45 Rabbitとして、彼女を護ると決意した入間銃兎として応えなければならない。
恐怖を振り払った銃兎は立ち上がりマイクを手に取って、幾多の死地を共に乗り越えてきた
鳴り響くサイレンとムーディなトラックが2人を包む。音の揺らぎも無いビートは、彼にもう迷いが無い事を表していた
────もう大切なモノを失わない。例えどんなリスクがあろうと、貴女を護ってみせる。貴女が成長を続けるなら俺も成長しよう。そして共に笑おう。それが貴女と交わす、指切りだ
護らなければと思っていた存在が知らない内に強く成長していた。自分の隣どころか前に立派に進んでいた。それは安心すべき事だろうが、それでも護るのが自分の使命。
───銃兎はMTC2番手の名に恥じぬ巧みなリリックで、交わせなかった指切りを改めて彼女に向ける。
ぴん、と立てられる小指。勿論Aは迷いなく自身の小指を絡めた
「ふっ……絶対、この約束は破りませんよ…」
『はいっ!!』
スピーカーが姿を消しマイクが見慣れた平凡な姿に戻る。懐に仕舞った銃兎は、Aを引き寄せ抱き締めた。
縋るモノではなく、愛おしさが溢れて思わずした抱擁。Aも嬉しさが溢れ、応える様に抱き締め返した
『えへへっ、私のラップどうでしたか?』
「とても良かったですよ。勉強したんですね」
『はい!意外と皆さんのラップをしている姿がネットであがってますので、それを見てこっそり練習してました!』
「ふふっ、その成果を見せて頂けたなんてこの上ない幸せです。左馬刻と理鶯には内緒ですからね」
『え、どうしてです?』
「嫉妬で怒り狂ってしまいますから」
『うぇ!?そ、そんなにです……?私のラップで?』
「えぇ。それ程の価値があるんですよ。Aさんも2人に怒られたくないでしょう?」
『わわわ分かりました……!』
36人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時