1050話 護る。守る。 ページ20
『銃兎さん、前言ってくれましたよね？私がもし暴走して銃兎さん達の敵になっても、意地でも元に戻して連れて帰るって。嘘だったんですか？』
まるで言い詰める様な言葉だが、表情は優しく聖女の神々しさを銃兎は感じた。その顔に見惚れて思わず返事を忘れていると、今度は悪戯っ子の様な笑みを浮かべて銃兎の顔を覗き込む
『私の事を捨てたらその約束を果たせないですよっ？』
｢っ……｣
澄んだ青に吸い込まれそうになった銃兎は顔を逸らし、辛そうに目を伏せた。
その言葉は嘘では無い。死んでも守る約束だ。だが痛感してしまったのだ。護る為に強くなろうとしても、限界がある、トラウマが蘇る、過去の自分からの嘲罵が聞こえてくる
何かを成すにはそれ相応のリスクがある。彼が1番理解しているが、そのリスクに彼女を巻き込む恐怖が覚悟を蝕んでいく
ぐ………と革製の擦れる音が鳴った。様々な感情で歪んだ銃兎の顔を見たAは、理鶯仕込みの素早い動きで彼の内ポケットに仕舞ってあるマイクを奪う
｢っ！？Aさん！？───っ、｣
完全に意表を突かれた銃兎。逸らしていた目が、つい奪われたマイクを追い掛けると必然的に青い瞳と視線が交わる。
マイクを握って立ち上がり、銃兎の前に突き出した彼女。先程とは違う真剣な目。鋭く、強く、眩しい光を宿す目
『銃兎さん達が私の傍に居てくれると約束してくれました。だから、私も銃兎さん達の傍にいると約束します。銃兎さん達が私を護る為に強くなるというのなら、私も銃兎さん達の約束を守る為に強くなります。
───────いえ、銃兎さん達が護らなければと思わせない程に強くなります。1人でも安心だと思わせる程に、横で立って貴方達と共に戦える程に』
｢──ッ！！！｣
同じだった。
命の恩人で自分の野望を聞かずに叶えると言い放った偉大な王の目に。困難な事でも何故か成し遂げられそうだと思える目。堕ちた自分がどんな手を使っても支えると決めた目
ヴゥン……と鳴る起動音。スピーカーの姿は見えないが、ガラス楽器の様な澄んだトラックが彼女の心を表す。照明の光で美しく光る黒いマイクが彼女の覚悟を響かせた
『“私はまだ弱い。でもどんなに困難でも貴方達の傍に。例え世界の終わりでも共にいる志。絶対後悔無い、そんな貴方はどうなんだい？”』
思わず息を呑んだ
人が変わった様だと
精神干渉もなければただのパフォーマンス。しかしマイクを通したからこそ、銃兎の胸に深く深く刻まれた
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます！これからもまったりマットリを堪能させていただきます！ (1月8日 17時) (
レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ！ (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません！最新の小説、更新された瞬間に見ることができました！これからも頑張ってください！ (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか！？(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます！嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう！ (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 | 作成日時：2023年11月29日 10時
