1048話 悪徳警官の善意 ページ18
左馬刻の車が銃兎の家に着いた頃には、太陽も下がり暗くなっていた。
今回は急な事もあり、左馬刻は自身のシノギが終わっていない。理鶯も野営地で諸用があるらしく、銃兎とAだけを車から降ろした。勿論、スキンシップは忘れずに
「じゃあなA。明日俺の家だからな」
────そう言って車から降りる前にAの頭を撫でて頬にキスをした左馬刻
「A、少し此方に手を伸ばしてくれるか?──ふふっ、感謝する」
────“では、いい夢を”。と、車から降りた彼女に窓から手を伸ばす様に促し、手の甲にキスを落とした理鶯
最後の最後まで欲深い男達である。
満足した彼等はこの場を離れ、あっという間にヨコハマの街の光の中に消えていった。4人揃えば賑やかだが、2人も突然いなくなると夜風の音だけの平和な静寂に包まれる
「さて、中に入りましょうか」
『はいっ!』
銃兎に手を握られ、彼女達もマンションの光の中へ入って行った
中々に濃密な1日だった為、リビングに着くなり吸い込まれる様にソファに座った2人。緊張の糸が切れたらしく、暫くは動きたくない。そう思いながら2人揃って溜息を吐く
チラリ、と銃兎が何気なくAの顔を盗み見る。
彼女は疲労の色は見られるが、自分の手首にあるミサンガや貝殻のブレスレット、胸元に光るペンダントに黒色のポーチ等の思い出の品を見たり触ったりして微笑みを浮かべていた。どうやら自身が身につける物が、他人の
そんな健気な顔が可愛らしく愛おしい。銃兎も釣られて笑みを口に乗せたが、彼の頭に退紅の言葉が過ぎった
「ッ…………。」
Aを捨てきれない。確かにそうだ。その通り。反論なんて出来る訳が無い。自分は彼女が大事だと思っているクセに、自分のエゴで彼女の横にいようとしている。彼女を近くに置こうとしている。
強くならないと。護れるように。今日の一件で痛い程感じてしまった。焦りが生まれてしまった。俺には完璧に護れる程の力が全く無い
『………?銃兎、さん…?』
気が付けば銃兎はAを横から抱き締めていた。縋る様に、恐怖を和らげる様に、懺悔する様に強く、強く。そして、コップから水が溢れ、静かに零れる様に弱々しく呟く
「───…………捨てきれなくて……ごめんな……っ」
───本心。
己の正義の為に悪になるしか無かった男の、
1049話 らしくない行動→←1047話 穏やかじゃない約束だが、必要な事。
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時