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1042話 貴女の声だけが頼りだった ページ12

理鶯の腕の力が強まる。苦しくは無いが、いつも以上に力が入っている事にAは感じた。それが温かな感情では無く、負の感情のみのモノだと言う事も


「A、これだけは覚えてくれ。小官達は護りたくても、貴女の助けを求める言葉がなければ動けない時があると。貴女の言葉を待つしか出来ない時があると……!!」


3人共、理性と衝動の狭間で葛藤していた。
無理矢理に彼女を連れ去りたい。干渉せず、護りに徹するべきだ。乗り込みたいが果たして正しい選択か。ここで待つ事は果たして正解なのか。取り返しのつかない事をしているのではないか。
決して長すぎる時間ではなかったが、3人にとっては地獄の時間に変わり無かった

そこから抜け出すには、Aからの音だけが頼りだった。なのに最後まで無いどころか、自ら出さない選択をしていた


「小官達だって、正しい選択が分からない時がある。貴女の助けを求める声がなければ見失うのだ。後悔をしない為に最善を尽くすが、それでも迷うのだ……ッ」

『り…お……さん……』

「………すまない。これは八つ当たりだ……。貴女は貴女なりに最善を選んだのだろう。咎めるべきではないと思うのだが……それでも、抑えられなかった……」


「許してくれ……」とAに回していた右手が青髪に触れる。そして割れ物を扱う様に優しく梳いた

銃兎は暗い表情のままそっとAのマイクを持っていた手に触れる。するとぎゅっと包み込むように握りしめた。未だに背を向けたままの左馬刻はふぅ……と紫煙を吐く。煙草を持つ右手は僅かに震えている


『………っ』


正しいと思った行動で、3人を不安の地獄に叩き落とした。きっと分かってくれると浅はかな考えで行動してしまった。大切な人を傷付けてしまった
Aは自分の行動を酷く後悔した。もっと周りを見るべきだったと


『ごめんなさい……。私……』

「A、頼むから相手に合わせようとするな(・・・・・・・・・・・・)。貴女の気持ちを正直に言ってくれ。本当はあの様な事、怖かった筈だ。小官達よりも自由なのだから、恐怖を押さえ込んで行動しないでくれ……」


理鶯も左馬刻も銃兎も組織に属している以上、上の指示には逆らえない。それ故に雁字搦めになってしまう。それに対しAは何も縛るモノはない。自由な筈だ。それなのに相手のルールに自ら入って通そうとしてしまう。決して間違いでは無いが、国の指示で精神を摩耗し続けていた理鶯にとって望まない事だった

1043話 ショ■ジキに言おう→←1041話 理解不能、理解不能。



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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時

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