1032話 焦り、張り詰めた空間。 ページ2
「───ッ、」
理鶯の耳に鋭い金属音が一瞬響く。
それは盗聴器が壊された事を告げる不快音。
成る可く気付かれない様にAに付けたつもりだが、どうやら退紅にはお見通しだったらしい。もう必要ないと耳に付けていたイヤホンを外す
「チッ………遅せぇじゃねぇかオヤジ……何の話をしてやがる…っ!!」
「おい左馬刻、テメェAに何かあったらタダじゃおかねぇぞ」
「るっせぇな、俺様に話し掛けんな砂にすンぞ」
「あぁ゙!?そもそもテメェがバレた所為でンな事になってんだろうが!?」
「ンだとぶっ殺すぞッ!!!」
左馬刻達が連れていかれたのはいつもの見慣れた部屋。黒いソファに不撓不屈の扁額。舎弟にとってもいつも左馬刻に用があれば入る事務所だが、殺気立った3人がソファに座る現在、恐怖の空間となっていた
空気を吸うだけでも肺が痛む程に緊張感が走る空間に、神崎と廉貞はこの場から逃げ出したくなっている。しかしオヤジからの命令、背く訳にはいかない
2人の目の前で左馬刻と銃兎が胸倉を掴み合い、罵声を浴びせ合い始めた。このままでは暴力沙汰になりそうだ。そう思ったところ、理鶯が冷たい重低音で静かに場を制圧する
「左馬刻、銃兎、静かにしろ」
「あぁ゙!?」
「お前達が騒がしいと、Aがもし助けを呼んだ時に聞こえない。暫く黙れ」
「ッ………クソがッ」
あの理鶯ですら厳しい物言い。それ程に彼も追い詰められているのだと、左馬刻と銃兎は舌打ちをしてソファに座り直す
理鶯の鶴の一声でピリついてはいるが、少し静かになった。舎弟達はほっ、と気付かれない様に安堵の息を吐く
「理鶯、イヤホンを外したという事は気付かれてしまいましたか?」
「あぁ、残念ながら。しかし最後に火貂退紅はAに何かを渡た様だ」
「渡したって何をだ?」
「分からない。だがその前までは、小官達がいつ死んでもおかしくない存在だと言うことを告げていた」
腕を組み、退紅がこれから行う事を予測しながら理鶯は記憶を整理する。不穏な事実、それは否定出来ないが何故改めてAに告げたのか。3人は眉間に皺を寄せ、思案する
「盗聴器が壊される瞬間、微かに聞こえたのは、“いつ居なくなるのかを怯えるだろうお前にはこれをやる”という言葉。火貂退紅は一体何を……────」
「っ、おいまさか……」
銃兎なら気付いてしまう、相手を堕とす甘い言葉。寄り添うように地獄に誘う悪魔の言葉。彼の全身に冷たい衝動が走った
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刹那さんの小説ファン - 章公開おめでとうございます!これからもまったりマットリを堪能させていただきます! (1月8日 17時) (レス) @page50 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» ありがとうございますm(*_ _)m 今回の更新で50話分溜まりましたので、次の章公開まで暫くお待ち下さいっ! (1月8日 11時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - 何度もすみません!最新の小説、更新された瞬間に見ることができました!これからも頑張ってください! (1月7日 20時) (レス) @page49 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 刹那さんの小説ファンさん» 発狂して家宝にするレベルですか!?(笑) そう反応して下さる人は初めてで嬉しいですっ(*¯꒳¯*) (1月6日 22時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
刹那さんの小説ファン - お返事ありがとうございます!嬉しすぎてベッド叩きながら発狂してしまいました。スクショしまくって家宝にしますうううううう! (1月6日 18時) (レス) @page47 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年11月29日 10時