989話 それは必ずマモル約束。 ページ9
“だから何故そうなるんですか……。”
この場に銃兎がいれば、Aの答えのズレを指摘されるだろうが生憎仕事中だ。そして自分に利益があれば敢えて何も言わない2人しかいない
いつも以上に近く、彼女の柔らかさと温もりを感じる2人は、微笑みの下で理性と戦っていた
(やべぇ……可愛い事してくれンじゃねぇか……。クソッ、理鶯がいなかったら食ってンぞ)
(これは精神力を鍛えられる訓練だな……。小官は何とか耐えれるが、左馬刻はどうだ……?)
『さ、さぁ!くく車の所まで行きましょう!』
普通を装うとしているAだが全身が赤く染まり、声も裏返し、指か腕か意図せず押し付けられた胸からか、ドクドク早い鼓動を刻む心音で静かに取り乱しているのが明らか
庇護欲が掻き立てられた2人は何とか獣の様な欲を噛み殺し、無かった事に成功。それぞれの言葉で返し、車へと向かった
・
車に乗り進み出す頃には太陽は沈みかけていて暗くなり始めていた
いよいよ明日に弁当を作るぞと意気込むA、もう別れてしまうのかと無表情の下で残念がる理鶯、これから自分の家にAが来る事が楽しみでニヤリと笑う左馬刻。三者三様の気持ちが籠っている割りには車内は会話が弾んでいる
「あーそういやよ、銃兎からなんか文句言われたんだが蟻野郎共がお前らの所に来たのか?」
「あぁ、たまたま小官を見掛けたらしく声を掛けられたな。左馬刻、次からは二度と喧嘩が売れないように徹底して潰すのをオススメする」
「ハッ、そーするわ。何度も雑魚が俺らに絡んで来るのはメンドーだからなァ」
『車内の会話が物騒です……!!』
「安心しろA、お前に被害がいかねぇようにするからよ」
「だが万が一にも1人の時に狙われる可能性がある。その時は無理に戦おうとするな。確かに貴女は強いが、相手がどんな手を使ってくるのかが不明な状態で戦いに出れば危険だ。隙を突いて逃げろ」
『あっ、はい!逃げます!』
「そンで逃げ道も無くなって、武器も何も無いどうしようもねぇ時は叫べ。助けろってな。そこら辺の奴らが耳を貸さなくても……──────俺らが絶対ェ見付けて助けてやるから」
運転する左馬刻の視線は合わない。だが芯が固いその言葉はしっかりとAの
その言葉が嬉しくてAは目を見開き、街の光達を瞳に写す。そして光を閉じ込める様に笑った
『分かりましたっ!その時は呼びますね!』
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時