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1018話 平穏揺るがすフラグ ページ38

───〜〜♪


Aで遊んでいるところで、突然左馬刻の極道感溢れる特徴的な着信音が鳴った。基本的にこの着信音は火貂組の誰かからなので、厄介事が起きたのかと3人は表情を険しくさせる

舌打ちをした左馬刻は直ぐに電話に出て「俺だ」と短く相手に応えた


「……あ?ンなの態々俺様に言う必要ねぇだろが。────………チッ、わぁーったよ。……忙しいってのによコッチは…………るっせぇな行くっつってンだろうが安心しろや」


面倒臭そうに返答してる様子を見るに、何やら頼まれ事をされている。抗争があった訳ではなさそうなので、取り敢えず銃兎は安堵の息を吐いた

電話を終えた左馬刻は再び舌打ちをしてスマホを仕舞ったので、理鶯がすかさず尋ねる


「どうかしたか?」

「あー。舎弟からの電話でよ、来週辺りに事務所にオヤジが来るらしいンだわ」

「オヤジって……火貂退紅か?」

「おう。別に俺様に言わなくていいだろって思ったんだが、何か俺様に用って。ったく……せめてDRB前か終わった後にしろや……」

「左馬刻を呼ぶという事は、恐らく大事なシノギでもあるのではないか?」

「それか我々よりも先にヤクに関する情報を得たか、ですね」

「DRBが始まった事だし、裏でコソコソするゴキブリ共が動くのも普通か……。面倒事増やすなよクソが……ッ」


ヤクザの事は深く知らないAは口を挟めず3人を不安な目でただただ見守る。その視線に気付いた左馬刻はフッ、と表情を緩めて彼女の頭を撫でた


「安心しろや。お前には被害はいかねぇ様にすっからよ」

「当たり前だ。カタギに迷惑は掛けるなよ。問答無用で豚箱だからな」

『よよよよく分かりませんが、無理しないで下さいね!?』

「ハハッ、気ィ付けるわ」


Aの肩を優しく抱き寄せた左馬刻。急に引き寄せられた彼女は『わっ、』と短く声を上げ、周りの仲間2人は一瞬のうちにムッとした表情になった


「左馬刻、独占は許さないぞ」

「あ?ここは俺の家だ、別にいいだろ」

「どういう理屈だ馬鹿野郎。どうせこの後俺らは帰らなきゃいけねぇんだから離れろ」

『な、何で理鶯さんと銃兎さん怒ってるんです?』

「コイツらの心が狭ェから」

「はっ倒すぞクソアロハ」


この後も暫くテレビも点けずにAで戯れた3人。平和なのは彼女が待つ空間のみ。何が起こるか分からないディビジョンでこうして囲っていれば、彼女の身に面倒事が掛かるとは無い。







────そう思っていたのだが。

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時

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