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1017話 歯止めが効かない男達 ページ37

『スマホの中身は見られるし、寝ぼけてるのも撮られてるし……。恥ずかしさで死んでしまいます……』


部屋の隅で3人に背中を向けて悲しむA。この場で味方なのはぬいぐるみのラビ君のみ。いや、喋れないし動かないので中立と言った方が正しいか

ぐすぐす……とラビ君を抱き締める姿は勿論3人に撮られている


「A、その様に隙を見せると撮られるぞ」

「と言いながら撮ってるのは誰です?」

「俺らだな」

『どれだけ撮りたいんですか!!』


クワッ!と顔だけ振り向かせてツッコミを入れたAだが、迫力なんて彼等にとって無い様なもの。ヘラヘラ笑いながら左馬刻が口を開かせた


「でもお前この前言ってたじゃねぇか、“残せる思い出は残したい”ってな。───………俺らもそーなったんだわ」


揶揄いも勿論ある。だが死と隣り合わせの人生を生きて来た3人も、いつしか写真を残したいと思う様になったのも事実。左馬刻は最初こそ妹含め事ある毎に写真に残す行動に対して理解出来なかったが、Aと長く過ごしてから自然と妹の真似をするようになった

揶揄いから慈愛を含ませた紅い瞳は細められる。優しい表情にやられたAは、むぐぐ……と葛藤を起こし少し経てば勢いよく立ち上がった


『もう!分かりましたよ!!どっからでも掛かって来いです!』
「言ったな二言は無いぞ」
「言質は撮りましたから」
「逃げんなよ」

『早いな反応!!?』


大人げない3人に僅かに恐れ、顔を引き攣らせながらも彼等の下に戻ったA。不満げに口を尖らせてる表情も、彼等にとって可愛らしい顔。スマホで撮影するのを止めてちょっかいを出し始めた


「怒んなって、悪用はしねぇよ」

『他の人に広めないで下さいよ!』

「当たり前だ。もしハッキングして見ようとする輩が現れるなら、愛らしいAを見た罪深い目玉ごと潰すつもりだ」

『物騒過ぎる!!ちょっと警察の方、いいんですか!?』

「プライバシーの侵害ですし、ハッキングも不正アクセス罪に当たりますからしょっぴいてハマの海に沈めますよ」

『いや法的に裁いてないし、さっきの銃兎さんの行動もプライバシーの侵害だと思いますが!!?』

「私が法です」

『悪徳警官の所以が垣間見えました!!!』


Aは思った。この場に寂雷か一郎の様な常識人がいてくれたらきっと止めてくれるんだろうな、と。だが思った所で無駄。この場には歯止めが効かない男達しかいないのである

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時

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