検索窓
今日:17 hit、昨日:50 hit、合計:11,530 hit

1016話 心臓に悪過ぎる目覚め ページ36

Aに甘過ぎる男はとんでもない提案をしたが、流石に2人は受け入れる事が出来ない。内心出来る事ならしたいのだが、不安要素や、自分の立場を考えると厳しいモノがある

折角口にしてくれた答えだが、実現は難しい。なので理鶯は彼女の手を握り締めながら優しいテノール調で伝えた


「すまないがその願いを叶える事は難しい。だがなるべく3人が揃い、貴女の傍に居ると約束しよう」


そう言って微笑むと、小さい手の甲に口付けをした


「はぁ!?おま、何ナチュラルにキスしてンだよ」

「何か問題でもあるのか?」

「似た事を我々もしてますから文句は言えませんが、その、流石ですね……。自然すぎる……」

「ふふ、Aと小官の仲だからな」

「誤解を招く言い方すんじゃねぇよ」


3人の小さな言い争いの所為か、手の甲の擽ったさの所為か、微睡み状態だったAの脳は段々と覚醒する。半開きだった瞼は完全に開かれ、パチパチと現状把握の為に忙しなく瞬く。そして固まり─────


『いやぁああああ!!!』


急な3人の帰宅、至近距離、スマホ撮影、自分が2人の手を握っていた、朧気に記憶にある理鶯からのキス等々、寝起きには刺激の強すぎる情報量にパニックになったA。突然大声を上げて2人の手を離し、ラビ君を抱き締めて顔を隠した


「おーおー、Aチャンよォ。家主が帰ってきたのに悲鳴とは随分なアイサツだなァ?」

「それに加えそのぬいぐるみを盾にするなんて。全く酷いですねぇ?」

「小官達が聞きたかったのはそんな声では無かったのだが」


いつかはそうなると分かっていた3人だが、性格の悪い男達である。1人は悪い笑み浮かべ、1人は態とらしく悲しい表情を、1人は軽く眉間に皺を寄せ不機嫌に。それぞれのやり方でからかい始めた


『いや、あの!!こ、これは!!えと!!』

「ぶはははっ、お前どんだけパニックになってんだよ。ただ俺らが帰ってきただけだぜ?つーかそろそろ顔を見せろ」

『いやぁあ!!ダメダメダメです!!恥ずかしいですしちょっと落ち着かせて下さい!』

「おや、私がずっと撮影してるのに止めなくて良いんですか?」

『ぎゃあああ!いつから撮ってるんですか!!』

「そうですねぇ、一部始終?」

『削除求めます!!』

「それは認められないな。諦めろ」

『何で理鶯さんが言うんですか!』


Aが目覚めた途端賑やかになる部屋。3人は比較的賑やかなのは苦手なのだが、この賑やかさは心安らぐ好ましいモノだった

1017話 歯止めが効かない男達→←1015話 弱点を無意識に突く彼女



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。