1012話 始まるDRB予選 ページ32
──────数日後。
平和な
────“第一回 Division Rap Battle予選。”
ヒプノシスマイクという名の招待状を手にした全てのディビジョン代表チーム。己が名声を得る為、己が強さを見せつける為、己が目的を達成する為、己が全てを手にする為、己が存在を証明する為、己が世界を壊す為───彼らは全てを賭けた戦いに身を投じる。ありとあらゆる思惑が渦巻くこの戦いは、全国の人々を熱狂の渦に取り込んだ
《WINNER!!! MAD TRIGGER CREW!!!》
《うぉおおおおおお!!!!》
左馬刻の自宅にはテレビの中継された歓声が響き渡る。
敵を一発で仕留めた自身のマイクを高らかに掲げる左馬刻、口程にも無いと言わんばかりに笑みを浮かべる銃兎、当然の結果だと言いたげに無表情な理鶯。
そんな彼等を映した映像を見ているのは、お留守番をしているAだ。ラビ君を抱き締め、キラキラと子供の様に純粋な瞳を大きくしている姿は完全に彼らの虜になっている様だ
『凄い……これがラップバトル……!!』
彼女の中には傷付いた敵チームを心配する気持ちもあったが、見事なチーム連携で文字通り秒で倒してしまった左馬刻達に魅了されて、上書きされてしまった。自分の練習中のラップとは月とスッポン、まだまだ勉強しなければならないと意欲が掻き立てられたAは、スマホを持ちメモをし始めた
─────何故彼女が左馬刻の家にいるのかと言うと数日前、左馬刻と銃兎が野営地に来た時の事。本格フレンチのディナーに困惑しながら食べていた左馬刻が、DRB予選が始まったら自分の家に泊まらせようと提案したのだ
セキュリティ面、テレビで予選が見れる等々熱意溢れるアピールによって理鶯は首を縦に振る。だが勿論銃兎が自分の家にも泊まらせたいと主張したので、ここは争う事無く交代で泊まらせる事になったのだ
閑話休題。
Aは一瞬だったとは言え、頭の中に残ってる彼等のリリックを文字としてスマホに残す。どれもこれも個性豊かで物騒、彼等の色が濃く現れている
『うわぁ……これを即興で考えてるのか……。凄くないですか?ラビ君もそう思いますよね』
トモダチからは返答は無い。それは分かりきった事なので特に彼女は何も思わず語り続ける
『カッコイイなぁ〜。あっ、HIPHOPならイカしてるっていうでしたっけ、あれ、イル?ドープ?まだまだ勉強不足ですね……』
1013話 大勢の歓声よりも聞きたい声→←1011話 弁当は必然的に皆を集める
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時