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1007話 名案思いつく若頭 ページ27

Aらしい律儀な文の締めにらしくない物騒な頼み。思わず吹いちまった

取り敢えずこの紙は大事に取っとかねぇと。流石に裸じゃ直ぐにダメになっちまうしラミネート?だっけか、それしねぇとな。ウチの事務所にあったか?ねぇなら理鶯に聞くか。アイツなら持ってそうだわ

紙1枚に気持ちが上がっていく自身に柄にもねぇな、と紙をサンバイザーのポケットに丁寧に差し込んだ。これならポケットに入れるよりかはマシだろ

紙がちゃんと入ったのを確認した俺は、ランチバックから弁当箱とスープジャーを取り出し、センターコンソールの平らな部分に置く。そしていよいよアイツの弁当箱を開く事にした


「朝早くから作った弁当は一体どう────は?マジかよ……」


少し前まではおにぎりすら上手く握れなかった奴だ。なのに蓋を開けて現れたソレは、別の奴が作ったんじゃねぇかと疑うレベルのクオリティ。色鮮やかで、味が混ざらない様に綺麗にバランやカップで仕切られたおかずに、白米の上に皺もない海苔で出来た俺らのマーク

俺らの為に作っただけで嬉しいモンだが、こうして見ただけでも何を考えてくれたのかが伝わる弁当に、思わず片手で顔を覆い天井を仰ぐ


「く、くくっ……やっぱ最高だわ……ッ」


今頃アイツらも同じ感想を持ってンだろうなァ。小さい箱だが、Aの気持ちが詰め込まれている。喜ばねぇ訳がねぇ

ニヤけが止まらねぇままスープジャーを開けてから箸を持ち、俺リクエストであろう肉を食べる。


………美味ェ。固くも無く、塩加減も丁度いい。生姜焼きとかハズレねぇだろ、飯が進む進む。味わいながらごくんと嚥下した後、静寂な車内で大きく深呼吸をしてから独り言ちる


「やっぱ俺様の家に住ませてぇ……」


毎日俺様の為に飯作って欲しいわ……。何で理鶯ン所に住まわせちまったんだよ俺……。毎朝飯作ってくれんだろ?ンで手紙までなんて贅沢は言わねぇが弁当も作ってくれんだろ?ンでベットで一緒に寝る。
…最高過ぎンだろうが………ッ!!


フワフワに仕上がった卵焼きを噛み締めながら色々と思案する

……ローテーションにするか。いきなり俺様の家に住まわせるってなっても絶対ェアイツら納得しねぇし、それなら1万歩譲ってローテーション。
いや待てよ、もう直ぐDRBの予選だ。罠があるとは言え俺らが居ねぇ間に野営地に来るゴミ虫はいる筈。それなら俺か銃兎の家に居た方がセキュリティは万全。周りの目もある事だしな


我ながら名案じゃねぇか。

1008話 後に陰で噂話、妄想話をされる警官→←1006話 毎回俺様を喜ばせて来やがるな



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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時

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