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1000話 遠足日和な今日 ページ20

─────左馬刻が事務所に向かった後、小官はAから受け取った弁当をポータブル冷蔵庫で厳重に保管した。彼女曰く保冷剤を入れてるとの事で腐る心配は無い筈と言っていたが、万が一を考え入れた

本来はランチバックから出して入れたい所であったが、彼女はバックの中に“何か”を入れたらしく昼食まで開けないでくれと言われてしまった。折角のサプライズだ、楽しみに取っておくとしよう


空はさんさんと太陽で輝き、清々しい風が頬を撫でる。空気も澄み、暑くもなく雨を感じさせない今日は弁当を食べるのに一番適している。
薪を野営地まで運んでいる最中、隣で一緒に運んでもらっているAに提案した


「A、今日は絶好の弁当日和だな」

『あっ!それ私も思いました!凄く良い日ですよね!』

「ふふ、あぁそうだ。なので、この前4人で夜空を見たあの場所へ行き、2人で外の景色を見ながら弁当を食べないか?貴女の分の弁当は小官が作ろう」


思い出が詰まった場所、小官が好む場所だ。そこで新たな思い出を作りたい。そう思い彼女に尋ねれば、嬉しそうに青い瞳を細めてくれた


『良いですね!2人きりの遠足ですっ!』


遠足、と呼ぶには近すぎる距離だが、いつもと違う場所で弁当を食べればそう感じてもおかしくない。そして2人きり(・・・・)。彼女は何気なく言ったようだが、その言葉に小官の胸は大きく高鳴った


「ではこれから狩りに行くとしよう。昨日の料理に習い、見た目でも美味しく思える料理を作るので楽しみにしてくれ」

『はいっ!』









彼女を野営地に待機させた後、早速狩りへと出向いた。本来弁当は保存が効く材料でなければならないが、作って直ぐに食べる予定。特に気にせず美味しく食せるモノを厳選し、何を作るか想像を膨らませた

彼女の弁当箱だが、小官はよくこの地を離れ遠征に行く事がある。その為栄養補給として持参できる様にと持っていた弁当箱の予備があった。今回はそれを使わせてもらおう。少し大きめではあるが、問題は無い筈だ


ガサガサ、ガサガサ。


山のとある場所。目の前には罠に掛かった鹿が必死に逃げようと足掻いている。だがそれは一度捕まれば逃げる事は叶わない。それでも暴れる姿はとても活きが良く見える

この鹿にとっては残酷な結末ではあるが、無駄にはせず命に感謝をしながら頂くとしよう




────小官はサバイバルナイフを手にし、目の前の食材へ一気に仕留めに入った

1001話 そんな武器を持たせるつもりは無い→←999話 ご機嫌に揺れるブレスレット



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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時

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