【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -20章- 始まるDRB予選 (ページ2)

今日:15 hit、昨日:50 hit、合計:11,528 hit

982話アトラクションの様なデザートページ2

語り合いながら食を進めると美味しさもあって直ぐに完食した。次は珈琲とデザートがやって来た

テーブルに並べられた珈琲と苺のムース。これだけでもAは目を輝かせ『優雅な珈琲タイムです！』と言葉を漏らしていた
しかし理鶯にとって楽しみにしていたのはモンブランだ。温かい珈琲を口に含みながら、ソレが来るのを待つ

｢お待たせ致しましたー｣

店員の声が掛かる。来たか、と理鶯は溢れる期待を抑え視線だけを通路に移す。現れたのは大きな台車に大きな白い皿、それは中心が大きく窪んでおりモンブランの中身だけが置かれていた

『こ、これは……！？』

Aの目が大きく見開かれる。その目線の先は皿に乗ったモンブランでは無い。それを覆うように聳え立つ大きな機械だ

理鶯も周りの客達はその機械の正体は分かっている。今では見慣れた物だ。この場で知らないのはAだけ。だからこその大袈裟とも取れるリアクションがとても新鮮で、理鶯はスマホを取り出しAへカメラレンズを向けた

｢ではこれから絞っていきます｣

店員はそう言うと、大きな機械にあるレバーを力一杯下げた

すると優しい栗色をしたクリームが、細く滑らかに下の生地達に降り注ぐ。その光景はまるで滝のよう。その思わず見蕩れてしまう滝は甘い香りを纏い、興味津々に見ていたAの鼻腔を擽った

『〜〜！！す、凄い綺麗です！ね、理鶯さんっ！』

｢ふふっ、そうだろう？貴女ならきっと楽しんでくれると思っていたのだ｣

計算された細さのクリームは瞬く間に生地を包み込み、馴染みのある“モンブラン”へと姿を変えた。これでもかと降らせたクリームは、生地だけでは無く皿にまで広く注がれ、最後にモンブランの山頂にツヤツヤ輝いているマロンが乗り、見た目だけでも満足感の高いデザートとして完成した

｢お待たせ致しました。生搾りモンブランです｣

店員が大きな皿を持ち上げると理鶯が大きな手で｢彼女の下に｣と促し、ムースの隣に置かれた
ごゆっくりどうぞ、と店員が帰るとAは、子供の様にはしゃぎだす

『めっちゃ凄いですね！綺麗ですし、美味しそうです！』

相変わらず興奮すると低下する語彙力に思わず理鶯は小さく吹く。未だにスマホは彼女を録画しているので、その息はしっかりと入ってしまっている

｢さぁ、何方でもいいので食べてみてくれ｣

ワクワク、という効果音が付く程に楽しみな彼に、Aは『はいっ』と笑顔で頷いて先ずはモンブランを口に運んだ