981話 思い出のデザート ページ1
『い、苺のムースって……り、理鶯さんが初めて私の為に作って下さったデザート、じゃないですか……?だ、だからその……見た瞬間に……食べたいなって……えへへ……』
照れくさく控えめな笑顔、ほんとりと赤に染まる頬、幸せそうに細められた青い瞳は理鶯を見つめていた。そんな事を言われればあの難攻不落のイージス艦も───
「ふ、ふふふ、そ、そうか…っ。確かにそれは小官が貴女の為に作ったデザートでもあったな。その様な理由があるのであれば、頼んでしまうのも無理も無い。ふふっ」
幸せ全開のオーラを振り撒き、この場に仲間の2人がいれば物珍しさで連写するであろう笑みが出てしまう。マイクを通さずとも、彼女の言葉にはノックアウト。簡単に墜ちてしまう
『勿論理鶯さんの言っていたモノも頂けるので無問題ですよっ!』
「了解した。しかし無理はするな。食べ過ぎては胃に負担が掛かるからな」
『はいっ!』
・
────それから数分後、ホカホカと食欲をそそる香りと共に湯気が昇る料理達が運ばれてきた。
サバイバル料理が毎日の理鶯達にとって、料理に敢えて掛からず周りに模様として彩られたソース、ハーブや付け合せのマッシュポテトがメインディッシュをより際立たせる様に盛り付けられたりと計算し尽くされた見た目には感動の表情を浮かべた
『凄いですね!何と言えばいいのか………とても綺麗です!』
「ふむ……確かにこの見た目だと食欲もそそられるというもの。匂いや味だけではなく、視覚でも作用させるとは……小官もまだまだ勉強しなければならないな」
『理鶯さんの料理でもこんな風に出来る物なんですか?使ってる材料からして難しそうですけど……』
「難しいかもしれないが、それこそ再現出来れば達成感がある。これから試してみるとしよう。きっと左馬刻や銃兎も驚くだろうな」
『そうですね!もし宜しければ手伝いますよ!』
「あぁ、その時は頼む」
まさかのここで左馬刻と銃兎が救われる話が出てくるとは、自身の職務を全うしている最中の2人は露ほどにも思っていない。理鶯は今まで素材本来の形のままで料理をしていたが、フランス料理の美しさに触れ改良をする事に決めた
理鶯とAは、暫くサバイバル料理をどう美しく、そして美味しく見せられるかという話で盛り上がった
普段はしない2人きりの外食。意外な所でいい経験をした理鶯とAであった
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時