940話 同類しかいなかった ページ10
「お前よく優しいって言えるよな。軍人はともかく、一応ヤクザと悪徳警官がいるんだけど?」
『だからビックリなんです!蓋を開ければ優しい人達なんですよ?そりゃもう私には勿体ない方々です!!まぁ……私が危なっかしい所為でそうなってしまってるのかも知れませんが……』
屈託の無い笑顔でポンポンと口から出される彼等の印象は、自分が抱く印象とは掛け離れている。にわかに信じ難いのだが、彼女の奥でオーバーキルされている様子を見れば嘘では無いと三郎は思えた
「あ゙ぁー……やべぇ……」
「私にはあの純粋な言葉を受け止めきれないんですが……」
「俺もだわ銃兎ぉ……」
「…………。」
「……おい銃兎、理鶯がめっちゃ幸せそうな顔で固まってるぞ」
「イージス艦でも駄目だったか……」
アレが普段Aと関わってる時の彼等なのか……。と何処か遠い目で眺める三郎。その心の中では、クールなイメージが結構崩れたな。1人の女相手にデレデレな奴らなら、ラップバトルで僕達が負ける訳────。
「やべぇ二郎……妹が光属性強過ぎてお兄ちゃん心配になる……」
「分かるよ兄ちゃん……っ。絶対悪い奴等に騙されちゃうよ……!!」
────前言撤回。ここには同類しかいなかった。
遠い目だった三郎の目は虚空を見つめ現実を逃避せざるを得なくなった
「オイコラ一郎。今Aの事妹って言わなかったかァ?」
「あ、やべ。本心が出ちまった」
「せめて嘘でもいいから否定しろやクソダボが!!」
「あんな庇護欲掻き立てられるヤツの前で嘘つけねぇよ!!」
「知るかボケ!!」
駄目だコイツら。
三郎は白い目で欲に忠実な男達を見下す。兄は普段は尊敬すべき人物であるが、オタクな部分だけはどうしても理解が出来なかった。それが今目の前で暴走している。ツッコむ事すら諦める程に
「大体テメェのじゃねぇんだよ俺様のだわッ!!」
「はぁッ!?一体誰が決めたんだよお前が勝手に決めてるんじゃねぇのか!?」
「ンだとゴラァッ!!」
「左馬刻……頼むからお前まで暴走するな。これは俺でも手に負えないぞ」
似た者同士の一郎と左馬刻。本当は仲がいいのか?と疑いたくなるくらいにコントのような喧嘩を繰り広げていた。流石の銃兎もツッコミを入れたが、2人は止まる事を知らない
唯一止めてくれそうなAは、三郎から離れて理鶯と喋っていた。本来なら抜け駆けするな、等と矛先を変える左馬刻は一郎に対抗心を燃やし気付く事は無かった
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時