937話 軍人の訓練はヤバイ ページ7
『入ってる！？わわわわ私、シュート成功したんですか！！？』
さっきの冷静さはどこ行ったのか、彼女はゴールと二郎を何回も交互に見て狼狽える。その様子から喜色が滲み出ていてより二郎も嬉しくなってきた
｢そうだぜ！！お前が決めたんだぜ！！すげぇじゃん！！｣
『二郎さんのパスのおかげですよ！！ずっと蹴りやすいボールをくれましたから！！』
｢俺はただサポートしてるだけ！シュートを決めたのはお前だっての！！｣
ピョンピョン飛びながら喜ぶ2人を見て、現実逃避をしかけていた一郎と三郎が正気を取り戻した。そして2人共こう結論付けた。────軍人の訓練はヤバイ、と。
ゆっくり二郎達に歩み寄る一郎と三郎の表情はぎこたないが、シュートを祝いたいのは変わらない。拍手をしてAを褒めた
｢すげぇなA。良いシュートだったぜ｣
｢僕には到底出来ないモノだったよ｣
『ふふん、ありがとうございますっ！シュートが決まると気持ちいいですね！』
｢だろ！？蹴る快感もすげぇし、入った時の達成感はやべぇんだよ！！｣
｢語彙力何とかしろよ二郎。一応ラッパーだろ｣
｢うるせぇな三郎。語彙力が無くなるくらい良いって事なんだからよ！｣
｢分かるぞ二郎。俺もさっき尊いしか言葉が出てこなかった｣
｢一兄はそっちに付かないで下さい！！｣
ワイワイ賑わう4人。そんな彼等の声以外に、ザクザク……と複数の足音が鳴っていた
喜ぶ4人はまだ気づいていない。程なくして足音と共に拍手も響き、その音の正体達が言葉を発した
｢───流石Aさんですね。驚きましたよ｣
｢うむ。しっかりと狙いを定められていたな。威力も申し分無い。これならキーパーごと仕留められる筈だ｣
｢あ、あの理鶯？サッカーはゴールすればいいんですよ？なにもキーパーを倒さなくても……｣
｢ハハハッ、理鶯ォ、お前サッカーやった事ねぇのかよ。ンな事すりゃ最悪レッドカードだぞ｣
｢それはわざとの場合では無いのか？｣
｢貴方って本当に恐ろしいですよ。そんな事涼しい顔で言えるんですから……｣
少々ズレた会話を繰り広げていたのはMTCの3人。スマホを構えた左馬刻が先頭で後ろに銃兎と理鶯が並んで歩いてくる。彼等を見た瞬間、Aは子供のように花を咲かせて彼等へ走っていった
｢げっ、入間と毒島も増えてる！？｣
｢ず、随分と豪華な迎えだな……｣
てっきり左馬刻だけと思っていた2人は心臓が飛び跳ね、また表情を引き攣らせたのだった
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作者名：刹那 | 作成日時：2023年7月29日 8時
