973話 イラつく軍人。 ページ43
平日の昼間だったとしても多くの人で賑わう街の中を理鶯は縫うように駆け抜ける。Aはと言うと、喋ると舌を噛むぞと理鶯に忠告された為、静かにしがみついていた
数分が経った頃、ペースも変わらず走り続ける理鶯が口を開いた
｢A、そろそろ3km程走ったが目的の店は近くか？｣
喋れる様にかペースを少し遅くした彼に答えるべく、Aは直ぐにスマホで現在地を確認。そして強く頷いた
『はいっ！100m圏内です！』
｢ならば少し間別行動を取るとしよう。貴女は目的の店に行き、任務を遂行しろ。小官はあの男達を殲滅してくる｣
『せ、殲滅って……』
｢大丈夫だ。無駄な時間は掛けない｣
物騒なワードにツッコミを入れたAだが、その心情を汲み取れる程理鶯は真っ当では無い。伊達にCrazy Mと名乗っていない
彼は依然ポーカーフェイスだが、折角のデートを邪魔されたと内心イラついているのだ。それを隠す様にAを降ろした理鶯は彼女の頭を撫でて優しく微笑んだ
｢ではまた会おう。もし何かあれば直ぐに連絡をしろ｣
『わわ分かりました！お気を付けて！』
早く終わらせたいのか、来た道を凄まじいスピードで走っていった軍人。取り残されたAはチクチクと周りの視線が刺さりながら、スマホが指す目的地へゆっくりと歩いていった
そして心の中であの男達に対してご愁傷さまと手を合わせたのであった
・
｢───戻ったぞA｣
『早過ぎません？3分も経ってない気が……』
Aが目的の建物に入り、さぁ広い店の中から物探しだと意気込んだ辺りで理鶯が息も切らしていない状態で帰ってきた。A自身まだ何もしてないのに終わらせてきたクレイジーな軍人に、彼女は引きつつ一緒に行動を始める
｢勝負を申し込んで来た割には少々弱すぎたのでな｣
『流石理鶯さん……。というか、あの人達どうしたんですか？』
｢銃兎に連絡を取り、連れていってもらった。その時に“頼んだそうそう面倒事を起こすな”と怒られてしまったが｣
『ははは……確かにトラブルに会うのは早かったですね……』
｢なので言い返した。“そもそも報復出来る程に生温い灸の据え方をした左馬刻に問題がある。文句を言うなら左馬刻に言え”とな｣
『頭を抱えた銃兎さんが凄くイメージ出来ます……』
｢確かに何か言いたげだったが、男達を蹴りながらパトカーに乗せて帰ったぞ｣
『八つ当たりしてるし！！？』
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作者名：刹那 | 作成日時：2023年7月29日 8時
