970話 煩悩まみれの警官。 ページ40
｢とても豪華な朝食ですねぇ｣
『えへへ……ちょっと張り切り過ぎちゃいました』
恥ずかしそうに頬を掻いているAの姿に、銃兎はぼんやり やべぇ……嫁にしか見えねぇ……とぶっ飛んだ思考に至っていた
危ない事を思われてるとは知らないA。純粋な笑顔のまま言葉を続けた
『では後片付けをしてくるので先に食べてて下さいっ！』
朝食を並べ終えたAは、座るのを促すかのように椅子を引いてそう言った。嫁じゃなくてメイドだったわ……と雑念が入った銃兎。直ぐに頭を左右に振ってそれを払い笑みを作る
｢一緒に食べたいので待っていますよ。……いえ違いますね、貴女が早く戻って来れるように私も手伝います｣
『えぇ！？大丈夫です！？もしかしたらスーツ汚れちゃうんじゃ……』
｢朝食を作ってもらって先に食べているのも申し訳ないですし、仕事で頻繁に汚してますから気にしませんよ。………それよりも私は貴女と一緒に居たいですから｣
綺麗な笑みを浮かべて少しクサイセリフを躊躇いなく吐いた銃兎。きっと仲間がいれば総ツッコミが飛んでくる事だろう。彼等が居ないのをいい事に大胆になっていると彼自身自覚はある
ファンが聞けば黄色の悲鳴が出るセリフに、Aはポカンとした後に顔を赤くして笑みを深めた
『えへへ……私も銃兎さんの傍に居たいです…っ』
｢ンッﾞ、｣
彼女は純粋過ぎるが故に彼の上を行く
あまりの破壊力に銃兎は殴られたような声を上げて胸を押さえた。朝から幸せな警官だ
『じゃあ一緒に片付けましょっ！今回段取りが悪くて洗い物結構作っちゃったんですよね！早くしないと料理が冷めてしまいます！』
｢分かりました。では行きましょうか｣
・
ジャー、カチャカチャ、ワシャワシャ。
水道水が流れる音とスポンジでフライパンを洗う音が響くキッチン。作業ペースは比較的早いが、彼女達の会話はまったりマイペースだった
『銃兎さん銃兎さん、昼ご飯はいつも何食べてるんです？』
｢そうですねぇ……日によって違うんですが、コンビニのサンドイッチだったり立ち食いそばだったり……直ぐに食べれるモノですね｣
『ハッ！それでは栄養に偏りがあると見ます！ちゃんと野菜とかも食べないと！』
｢ふっ、Aさんの言う通りですね。気を付けます｣
『これは弁当のメニューを変えた方がいいですね……』
｢もし3人共一緒のメニューにするならピーマンと人参お願いします｣
『それって左馬刻さんの苦手なモノ……』
971話 テンションが上がる軍人。→←969話 キッチンで料理をする練習ですっ！
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作者名：刹那 | 作成日時：2023年7月29日 8時
