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967話 蹴り慣れてはいる ページ37

折角綺麗に乾かした髪の毛を触られてるのにAは満面の笑みで撫でられ続けていた。その顔や仕草は完全に愛犬や愛猫のモノと一致する

動物を飼うのは面倒だが、Aは家にいて欲しい。あの労いの言葉で思いは強まった。つーか理鶯羨ましすぎるだろ……
銃兎は未だに微笑みの下が騒がしい


「ではお風呂行ってきます。もし眠たいのであれば、先に寝て頂いても構いませんよ」

『いえ!眠気は無いですし銃兎さんとまだまだ喋りたいですから起きてますよ!』

「ふふ、そうですか。それなら早く済ませないと。私も貴女と喋りたいですし」


可愛すぎんだろクソが……ッ!!
──銃兎は眩しいAから逃げる様に体を背け、微笑みの仮面を外した。歯を食いしばり理性を保たせるその表情は獣のように険しい。そのままお風呂へと歩いて行った









それから数十分後、普段ならゆっくり湯船に浸かりぼーっとする銃兎だが、この日はとても早かった。既に髪の毛も乾かし終えて後は寝るだけという完璧な状態にして足早にリビングへ戻って来た

Aはというと、流れ続けるテレビには一切興味を示さず真剣な表情でスマホをじーっと見つめていた。思わず何を見ているのか気になった銃兎が声を掛ける


「何を見ているんです?」

『あっ、銃兎さんっ。今お弁当の事を調べていたんです!食中毒にしない為のポイントとか、栄養バランスとか』

「勉強熱心ですねぇ。弁当楽しみです」

『喜んでもらえるように頑張りますから、楽しみにしてて下さいね!』


Aの隣に座った銃兎は、穏やかに目を細めて微笑む。きっと母親も今の彼女みたいに自分の為に試行錯誤して作ってくれたんだろうな……と胸が温まる感覚がしていた

そして、良い歳した大人が弁当1つでこうも感情が上がってしまうなんてガキくせぇ、と自嘲を含ませ鼻で笑う


『あっ、そうだ!銃兎さんってサッカー得意だったんですか!?めっちゃ綺麗なフォームで蹴ってたじゃないですか!』


話を突然変えた彼女は、どうやら銃兎の運動神経に興味を持っていたらしい。幼い頃から警官になる夢を持っていた銃兎からすれば、体育の授業もサボらず真剣に打ち込んでいた結果なのだが、もう1つ心当たりがあった

左馬刻と同じ、ヒプノシスマイクで仕留めるのが面倒な時は殴る蹴るで解決していた為、必然的に蹴りが上手くなっていた

なんて彼女の前では取り繕っている銃兎は言えないので「と、得意でしたね……」と濁して答えたのであった

968話 この時だけはクソッタレな世の中を忘れられる→←966話 欲深き警官。



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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時

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