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966話 欲深き警官。 ページ36

『ホントですか!?似合ってます!?良かった……』


彼女からすれば様子がおかしい銃兎からの言葉だが、特に気にせず純粋に受け取った。嬉しそうに溜息を吐いて胸を撫で下ろす

その様子を見た銃兎、ある1つの欲が生み出された。この場には自分とAだけ。ある意味自分の首を絞める事だが、欲を抑えきれなかった彼は口を開かせた


「Aさん、1つお願いなんですが……何でもいいので何かを言った後に“ぴょん”と語尾を付けて頂けませんか?1回だけでいいので」


“オイ良い歳した警官が何キモイ事頼んでンだよ”“そんなにぴょんが欲しいのなら貴殿の指をぴょんと切り飛ばしてやろう”
────そんな声が何処からか聞こえそうだが、幸い言う人物は居ない。自分が法である

流石に本人が嫌がれば諦めるつもり、やってくれれば御の字ぐらいの感覚で頼んだだけだ。そう心の中で言い訳をしながら欲深き警官は彼女の返答を待った


『えっと……それをしたら喜びます?』


案の定戸惑いの表情なAに銃兎は「えぇとても」と黒い欲を隠す営業スマイルで頷いた。意外といけそうだな、と期待を膨らませて





すると





『……い、いつもお仕事疲れ様、ぴょんっ……!えへへ……』

「ングッ……!!〜〜〜!!」


恥ずかしがり屋なAからは想像出来なかった言動。あどけない笑みを浮かべて緊張でたどたどしく紡がれた労い、そしてぴょん。とどめには照れ笑い
絶対に彼女は意識していないが、確実に銃兎を殺りにきている。胸を押さえ形容し難い声が閉じた口の隙間から漏れ出す


(この映像は絶対ェ誰にも見せねぇ……。切り取って俺だけの物にする。データも消えねぇように複数バックアップ取っとかねぇと。あ゙ぁーやべ理性が飛ぶ)


こんなに彼の頭が騒がしいなんてAは露程も思っていない。寧ろ自分の声がダメージを与えたのかもと不安に思い、慌てて駆け寄り銃兎の顔を覗き込んだ


『大丈夫ですか!?』

「──ッ、」


床に片膝を着いて銃兎を見上げるAの目は少し潤んでいた。不安に思っているから当たり前なのであるが、何故こうも的確に理性を壊す顔をしてしまうのか。銃兎は必死に頭の中で銃やらナイフやらを構えた物騒な仲間を思い浮かべた


「大丈夫です……貴女の労いの言葉が深く染みましてね……」


それっぽい事を言いながら深呼吸をし、自身を落ち着かせる。そして勿体無いと思いつつ、左手を彼女の頭に伸ばして撫でながらさりげなくフードを脱がせた

967話 蹴り慣れてはいる→←965話 ギリギリな警官。



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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時

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