963話 確かに追加のパジャマありましたね……!! ページ33
悪徳警官と呼ばれるには優しい音。それは謝罪を飲み込んだ彼女の耳に優しく溶け込む。銃兎の腕の中で収まっているAは、恐る恐るという形で顔を上げると、優しく細められた翠色の瞳と視線が交わった
「ふふ、応援して下さらないんですか?」
彼女に回していた左腕を離すと、青髪に触れて梳くように頭を撫でた。そして意地悪に言えば、Aはフルフルと首を振って否定。控えめな力で銃兎を抱き締める
『応援しますよ……!!』
「貴女の応援があれば、いつも以上に調子が良くなりそうですねぇ」
『そ、そうですか……?えへへ……』
綻ぶ様に見せてくれた笑顔に安堵した銃兎。暫くこうしていたい気持ちをぐっと堪えて、ゆっくりとAから離れて微笑んだ
「もう遅いですからお風呂の準備をしてこないと。あ、そうそう。丁度飴村さんから追加で頂いたパジャマがあるんです」
『そ、そういえばそんな事を乱数さんが言ってた……!!』
「ふふっ、今度はどんなパジャマですかね?楽しみにしてますよ」
そう銃兎がくすっと笑うとソファから立ち上がり、お風呂場へと向かった。その後ろ姿を見送ったAは、心の中で左馬刻の時の様な彼を真似た服じゃありませんように、と願っていた
彼等的には無問題どころか喜ぶ事をAは気付いていない
────数分経てば銃兎が可愛らしくラッピングされた袋と共にリビングに帰ってきて、Aとテレビを見て時間を潰す。また数分が経てば軽快なメロディがリビングに響く
すると銃兎は視線をテレビからAに向け「お風呂、お先にどうぞ」と袋を渡しながら促した。受け取ったAはパジャマの件を含めて緊張し、体を少し強ばらせながらコクリと頷く
(乱数さん……一体どんなパジャマを送ったんだ……!でもどんな形であれオシャレなのは違いない……。えぇいもうどうにでもなれー!!!)
強ばらせた顔の下でAは結果的に当たって砕けろ精神で向かった。銃兎は言うと、ぎこちなく歩いて行った姿を見ながらスマホを準備して、どんな彼女で帰ってくるのか楽しみに妄想を膨らませていた
(前回は熊だったが次は何だろうか。飴村の事だからカワイイ系か?ま、何にせよ撮る事に変わりない)
丁度その時に銃兎のスマホが音を鳴らして震えた。どうやらMTC3人のグループチャットでメッセージが送られてきたらしい
左馬刻Aのパジャマ姿送れ
理鶯小官も見たい
「ふはっ、アイツら……」
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時